3人の識者に聞いてみよう! 老後2000万円を機に考える、人生とお金のベストな選択とは

暮らし

2019/7/30

『人生100年時代の稼ぎ方』(勝間和代・久保明彦・和田裕美/アチーブメント出版)

 本の出版には少なくとも数カ月の準備期間が必要だと思いますが、この本はあらかじめ世間の関心が集まることを予想していたのではと思わせるタイミングで出版されました。『人生100年時代の稼ぎ方』(勝間和代・久保明彦・和田裕美/アチーブメント出版)です。

 この本は、タイトルのとおり人生100年時代のお金の不安を解消するために書かれました。2018年11月に北海道・釧路市で開催された「エンジン01 in 釧路」での講演を再構成したものです。読者の中には、お金の話というと、投資の話が中心になるのでは?と思う人がいるかもしれませんが、投資に関する話はごく一部しかありません。本書は経済評論家、マーケティングの専門家、セールスの専門家の3人による共著。それぞれが前の章の内容を受けて話をつないでいくというスタイルで書かれています。

 人生100年時代には3つのエッセンスが必須だそうです。それは「健康」「何歳まで働くかは自分で決めるという決意」そして「コミュケーション能力」です。お金を稼ぐために健康が必須というと意外に感じますが、この章の担当である勝間和代氏は「健康は人生すべてのベース」であると言い切っています。「稼ぐためには健康を犠牲にしても働く」そう信じている人もいるかもしれません。

 しかし、不健康になって失うものは膨大です。健康的な体づくりのための具体的な方法については、本書を読んでみてください。勝間氏の提唱する健康法は世の中のスタンダードとは少し違うので、考え方を知るだけでも得るものがあります。

 久保明彦氏が提唱する「何歳まで働くかは自分で決める」という発想は、これからの時代、必ず必要となるでしょう。特に参考になると感じたのは「5年後、10年後を見据えて依頼がなくなる可能性が高い仕事にBETするのをやめる」という考え方です。現在の給料や報酬の高さだけを見るのではなく、その仕事をすることは将来の自分にとってメリットがあるかを常に考えるということです。つまり仕事の「将来性」を考えるということになりますが、問題はそれをどうやって見極めるかでしょう。勝間氏は答えのひとつが「雑談」と「読書」であるといいます。10年前の自分が今の自分を予想することが難しかったように、世の中の未来を予想することは誰にもできません。しかし、予想は難しくても方向性を感じ取ることは不可能ではないのです。

 そこになぜ雑談と読書が関係するのか。それは多角的な視点を得るためです。雑談と読書を提案しているのは勝間氏ですが、他の共著者も同じようなことを言っています。雑談はコミュニケーションの一種であり、ここで大切になるのは、「あえて自分の興味や関心がない分野にも目を向ける」という姿勢です。また、自分と同じような立場や業界の人であっても、その人自身に興味を持つようにしているともありました。

 世の中の風潮は、人生100年時代をネガティブなものとしてとらえる傾向が強いように感じます。AIに仕事を奪われる、年金が少なくて退職後の生活が不安、それなのに寿命が延びていつまで生きるか分からない。たしかにそれはこれからやって来る時代のひとつの側面です。しかし、嘆いたり不安に思ったりしているだけでは何も変わりません。

 それでも生きていくわけですから、どうすればリスクをコントロールし不安を減らすことができるかを考えて実践した方がずっと建設的です。最後に気持ちが明るくなるようなメッセージを本書から紹介します。

人生100年時代はものすごくポジティブな時代になると考えています。年を取るということは、経験やキャリアを積んで知識がつき、できることが増えるということです。多少のことでは折れない心も育ちます。

 著者たちのメッセージは、きっとあなたに希望をもたらすものとなってくれるでしょう。

文=いづつえり