ガリレオもアインシュタインも問題児だった。漫画で描く歴史上の天才科学者の面白エピソード集

マンガ

公開日:2019/8/3

『まんが 偉人たちの科学講義 天才科学者も人の子』(亀/技術評論社)

 子どもを持つ親なら誰もが抱く子育ての悩み。協調性がない、会話が苦手、忘れっぽい、落ち着きがない、引っ込み思案、悪癖がある、など…。うちの子は大丈夫かしらと思う親の不安もわかりますが、もしかしたらそこに偉大な才能が眠っているかもしれません。

『まんが 偉人たちの科学講義 天才科学者も人の子』(亀/技術評論社)は、歴史上で偉大な発明や発見をした天才科学者のエピソードを漫画で紹介しながら、科学を面白く解説した一冊です。

 人と違う天才の視点は、なかなか凡人には理解できないもの。どんな偉大な人物でも少年時代は落ちこぼれや、変人と思われていました。そんな偉人のこぼれ話をちょっとだけ覗いてみましょう。

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■ニュートンはお金にがめついメモ魔だった

 科学界の王様といえば、「万有引力の法則」のアイザック・ニュートン(1642~1727)です。物理学の他にも光学でも業績を残し、雨上がりの空にかかる虹を「7色」と決めたのもニュートンだといいます。

 イギリスの裕福な家庭に生まれたニュートンでしたが、お金にがめつく、見栄っぱりで贅沢好きな一面がありました。またお金の貸し借りや家計簿を細かく残すメモ魔だったとか。

 そんな変人ニュートンの名前が一躍世に知れ渡るきっかけを作ったのが、ハレー彗星を発見した天文学者のエドモンド・ハリーです。ニュートンが構想した「運動の3法則(慣性の法則、ニュートンの法則、作用・反作用の法則)」を称賛し、出版を勧めて『プリンキピア』という本にまとめました。ここからニュートン力学の時代が訪れたのです。

■貧困層の希望の星ファラデー

 電磁気学の第一人者マイケル・ファラデー(1791~1867)の生家は貧しく、小学校を卒業してすぐに働きに出ました。しかし科学に興味を持っていた彼は、スラム街の製本屋で働きながら独学で学びます。化学者ハンフリー・デービーに弟子入りすると実験に明け暮れ、コイルに電流を流すと磁場が発生する現象を発見し、モーターと発電機の原型を作ったのでした。

 ただ、ファラデーの欠点は数学が苦手だったこと。その彼を支えたのが数学者マクスウェルです。電磁気を数式で表す「マクスウェルの方程式」を考案します。さらにファラデーに前後して「右ねじの法則」を発見したアンペール、「フレミングの左手の法則」のフレミングも電磁気学の裾野を広げ、今日、便利な電化製品であふれる私たちの生活の基礎を作ったのでした。

■のろまでマイペースな分解魔・ボーア

 量子力学の祖と呼ばれるニールス・ボーア(1885~1962)は、1922年にノーベル物理学賞を受賞した物理学者です。幼い頃の彼はのろまで、身の回りのものを分解してしまう癖がありました。しかし、父親はどんなに時間をかけても分解したものを自分で組み立てるように指導し、マイペースな息子を信じて根気よく接しました。

 次第に物理の才能を見せはじめたボーアは、マンチェスター大学のアーネスト・ラザフォードに師事して研究に着手しました。このラザフォードが教育者として卓越しており、ボーアの他にも彼の弟子からノーベル賞受賞者が何人も出ています。そこで原子核の周りを電子が回っているという原子の構造をつきとめ、私たちも物理の教科書で見る「ボーアの原子模型」を発表したのです。

 歴史に名を残す天才科学者は、孤独ではありませんでした。家族、教師、友人、理解者がいてこそ、その才能を開花させたのです。

 ですから世の中のお母さん、お父さん。どうか自分のお子さんの可能性を信じてください。そしてこの本を親子で一緒に読んで科学への興味を深めてはいかがでしょうか。

文=愛咲優詩