漫画賞受賞作家も愛猫に夢中! 保護猫と共に歩んだ幸福な「猫日誌」

マンガ・アニメ

2019/8/11

『うちのネコは飼い主に優しい。』(樫本学ヴ/小学館)

 今やSNSなどで自分の飼い猫の画像や動画をアップして「猫自慢」をする人たちは数知れず、いわゆる「猫ブーム」もすっかり定着した感がある。もちろん多くの作家が猫のコミックエッセイを描いている漫画界も例外ではない。そして漫画賞を受賞した経験のある漫画家でさえも、愛猫の可愛さには逆らえないようだ。『うちのネコは飼い主に優しい。』(樫本学ヴ/小学館)は、『学級王ヤマザキ』や『コロッケ!』などの人気作で知られ「第48回小学館漫画賞(児童部門)」を受賞した樫本学ヴ氏の、飼い猫への愛情あふれる猫日誌である。

 この作品は「最初、全くの趣味ではじめ、ネットの片すみでバズることなく、ひっそりと存在していた」漫画だという。それが編集者の目に留まって書籍化されたのである。そういう意味では確かに飼い主に優しい猫といえよう。本編は樫本氏の家族と愛猫・くろまめ(通称「まめ」)の日常を描いた4コマ漫画で、ほのぼのとした交流の日々が綴られている。

 樫本氏のまめは、8歳くらいのメスの黒猫である。なぜ「くらい」なのかというと、実はまめは保護猫であり、樫本家に貰われてきたときはすでに成猫だったから。だから樫本氏は「子猫時代を知らない」ことが残念であるという。確かに、かつて猫を飼っていた身としていわせてもらえば、子猫は本当に可愛い。初めてウチに来たときのテレビの画面を必死に目で追う姿は、悶絶するほど愛らしかった。おそらく可愛いという意味では子猫時代が一番だろうと思うが、それを知らなくとも飼い猫への愛情に変化はあるまい。樫本氏ら家族にとって、まめはいつの時代も可愛いのである。

 本書で描かれるまめは、さすが実力派漫画家の作品だけあって非常に表情豊かだ。CMで有名な猫のエサ(ペースト状のアレ)にかじりつく姿や、そのあとに出た固形のキャットフードに明らかな不満顔を見せる姿など、猫を飼っていたことのある人ならば確実に共感できるはず。他にも布団の中に猫が入ってくるというエピソードも、多くの人が同じ経験をしているだろう。ウチの猫もよく布団に入ってきたが、母親にはたびたび怒られた。理由は布団に「猫の毛」が付くから。こういった共感性があることも、猫漫画の楽しさの一つなのである。

 一方で、環境の違いからくる相違点も当然ある。本書ではまめを樫本氏の妻の実家へ連れていったとき、まめが脱走して大騒ぎになった模様が描かれていた。おそらく半日にも満たない脱走劇だったようだが、樫本氏ら家族全員が必死に捜索するのである。しかしこの感覚、私にも理解はできるが共感はしづらい。なぜならウチの猫はほとんど放し飼い状態だったからだ。1~2日程度、家を空けることはザラだったし、「猫とはそういうものだ」とも思っていた。もちろん留守が続けば心配になり、捜すことにもなるのだが…。ただ、今後もし猫を飼う機会があったとしても、やはり放し飼いにしてやりたいと思うのである。

 このように猫への愛情いっぱいな漫画を読んでいると、やはり猫を飼いたくなってくるのは道理である。かつて猫を飼っていた人はもちろん、飼ったことのない人でもそう感じるはずだ。ただし、飼う以上は責任が生じる。そう、まめのような保護猫が出るということは、飼育放棄をする人間も多いということ。最後までしっかりと面倒をみる──これが猫を、いや、生き物を飼う上で、最低限必要な条件であることを肝に銘じておきたい。

文=木谷誠