“私”の話題は3回まで! 無駄なく意義ある会話をするための秘けつとは?

暮らし

2019/8/15

『自分のことは話すな 仕事と人間関係を劇的によくする技術』(吉原珠央/幻冬舎)

 会話が上手い人をイメージしてみてほしい。誰とでも話題が尽きることなく話せるとか、とにかくいるだけで場を盛り上げられるとか、人それぞれ様々な具体像が思い浮かぶだろう。

 そうなりたいと思う人たちが多いからか、ビジネス関連の分野ではいわゆる“話し方”を扱った本が少なくない。しかしながら、巷に溢れる会話本には「一番大切なことが欠けている」と俯瞰する一冊がある。イメージコンサルタントの著者による『自分のことは話すな 仕事と人間関係を劇的によくする技術』(吉原珠央/幻冬舎)だ。

 本書は「会話では『自分のこと』ではなく『相手のこと』を話す」ことが、もっとも肝心だと提案する。

■相手に3つの話題を振る。“私”を主語にするのは3回まで!

 会話とはそもそも、自分ひとりでは成り立たないものだ。その場には自分と相手がいる必要があるが、状況によっては自分のことばかりを延々としゃべる人に疲れたり、ひょっとしたらそんな会話をしてしまった自分を反省したりした経験もあるかもしれない。

 では、相手を疲れさせないためにはどんなことに気をつければよいのか。著者が意識しているのは「出会ったら、相手のことを3つ知ろう」という心がまえだ。

 ポイントは、自分を主語にして話し始めるのではなく、相手の名前を声に出しながら3つの質問や気になることを話題にしてみること。会話が続けばもちろん自分が話すべき順番も回ってくるだろうが、その際には「私」というキーワードで話し始めた回数が3回を超えたら、今度は聞く立場へ強制的に切り替えてみる意識も必要になってくる。

■話し始めるタイミングも会話にとっては重要

 相手に声をかけるタイミングをみきわめるのも、話をはずませるためには欠かせない要素だ。読み誤ってしまえば、どんなに会話の準備ができていたとしても台無しになりかねない。本書では、話しかけてはいけないタイミングの一例が、以下のように紹介されている。

・相手が今にも食べ物を口に入れようとしているとき
・相手がPC作業中でタイピングの音が途切れず続いているとき
・誰かと話が盛り上がっているとき

 相手の状況を考えずに話しかける人は、他人から「配慮がない、気が利かない、興味がない」と思われても仕方がないと著者は指摘する。自分が話しかけたいタイミングではなく、相手の言葉や動きから察知して、上手く会話に運べるような流れを作るのも大切だ。

■無意味な雑談を避けるために必須の“すぐ本題に入れる”フレーズ

 自分にとっても相手にとっても、時間は貴重なものだ。相手と会話できるチャンスは一瞬しかないのに、意味のない雑談で終わってしまえば、たがいに無駄な時間を過ごしただけになりかねない。

 とはいえ、会話の切り口というのもなかなか頭を悩ませるものだが、そんなときに役立つ「すぐに本題に入れるフレーズ集」も本書では紹介されている。以下は、その一例である。

「◯◯さん、ずばり一点伺ってもよろしいでしょうか?」
「◯◯さん、どうしても本日中に一点、ご提案させていただきたいことがございます」
「これは、まずい! ◯◯さんとお会いしたときは、お話が楽しすぎて、いつも時間が足りなくなってしまうので、まず一点だけ先に確認させていただきたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

 これらのフレーズには「今、あなただからこそ、聞いていただきたい」と懇願する気持ちや、「今すぐ話す必要性があるから」と説得する力が込められているという著者。もちろん相手に対する感謝や尊敬の念も忘れてはならず、たがいに“実のある時間を過ごした”と思えるような状況を作り出すのが鍵になる。

 これらのほか、ときには著者の失敗談も交えながら、実践できそうな会話術が詰め込まれた本書。実際に読んでみると、会話の主導権を握りつつ、いかに相手に“有意義な時間を過ごしてもらえるか”が肝心だということにも気がつく。公私ともに円滑なコミュニケーションを図りたい人にとっては、きっと役立つはずだ。

文=カネコシュウヘイ