心を縛る「親毒」の怖さ。「あなたのためなんだから」の呪縛を解くには?

暮らし

2019/8/13

『親毒 なぜこんなに生きづらいのか』(kokko/コスモトゥーワン)

 親だからといって子どもに何を言ってもいいわけではない――そんなことは分かっていたつもりなのに、いざ子育てを始めてみると思い通りにならない我が子にきつく当たり、後悔してしまう…そう思い悩んでいる人は多いという。何をどうしたらいいのか分からなくなり途方に暮れてしまうこともあるだろう。

 そんな悩みと格闘している人は、『親毒 なぜこんなに生きづらいのか』(kokko/コスモトゥーワン)を開き、「自分と親との関係」をぜひ振り返ってみてほしい。

 ハート・カウンセラーとして活動を続けている著者・kokkoさんも3児の母親。実は彼女も子育てに悩み、親との関係を見つめ直す必要性に直面したひとり。本書では著者自身の体験談やカウンセリングを通じて見てきた“親からの毒”に悩まされる人々のエピソードを交え、親であるあなたに“自分の受け入れ方”をやさしく教えてくれる。

 親から一見「愛」に見える「毒」を注がれ、感情をコントロールされてしまったという人もいる。そういう人は、大人になっても生きづらさを抱えてしまいやすい。心当たりがある方は、一度立ち止まり、傷ついた過去とじっくり向き合うことで未来を変えてみてはどうだろう。

■「あなたのためなんだから」は、本当に子どものためになってる?

 耳の痛いことをきちんと教えてくれる存在は、とても貴重だ。厳しさだけではなく、そこにやさしさがあれば、私たちはそれを愛と感じるだろう。子育て中には、我が子に「あなたのためを思って言ってるんだから…」と厳しい言葉を向けることも多いのではないだろうか? だが、その「あなたのため」は本当に我が子のためであり、ベースに愛があるのかどうかをその都度振り返ってみてほしい。

 私たち大人は、子どもが自分の思い通りになるかならないかで良し悪しを判断し、求める通りでないと「悪い子」「ダメな子」という烙印を押してしまうこともある。そうすると子どもは、「怒られる自分=悪い子」だと認識し、罪悪感を募らせる。罪悪感は子どもの心に「毒」となって染みつき、その後の人生に影を落とすことも多いという。否定的な言葉をかけられ続けると、子どもは「自分に価値がある」と思えなくなり、自己肯定感や自尊感情が育ちにくくなってしまうのだ。

「いい子に育ってほしい」と願う親はとても多い。だが、そもそも「いい子」とはどんな子なのだろうかと具体的に考えてみると、我が子との向き合い方も変わるかもしれない。子どもは親の期待通りに動くわけではなく、感情を持ったひとりの人間なのだ。

■いまでも親に認められたいと願っていないだろうか?

 そうしたいわけじゃないのに子どもに対してイライラをぶつけてしまう…こうした悩みにぶち当たった時は、自分の心と向き合うチャンスだという。あなたの心の中にいまでも「親に認められたい」と願う自分がいないかどうか、考えてみよう。

 親子関係は人が生まれて初めて築く関係であるため、上手くいかないと人生全般にわたって歪みが生じやすくなるという。

 例えば幼い頃、親に怒られてはいけないと思って迷惑をかけないようひたすらいい子を演じてきた人は、親の価値観を基準に、親が敷いたレールの上を歩いてきたため、大人になると自分が何者か分からなくなったり、もうこれ以上親の言うとおりにしたくないと考えて自分の幸せを台無しにするような選択をしてしまったりすることもあるという。

 もし、あなたがそうした“他人軸”で生きているかもしれないと感じたら、子育てだけでなく、結婚や仕事、人間関係などさまざまな場面で生きづらさを感じていることだろう。本書はそんな自分に対して、自分自身が救いの手を差し伸べられるようになるための1冊だ。

 親の毒に虐げられた人は自己肯定感が低く、自分を大切に思ったり愛したりすることができない一方、誰かに認められることで価値を確かめようと頑張る。だが、その気持ちの裏にはいまでも「親に認められたい」という願いが潜んでいるので、本当の意味で満足はできない。

 心を楽にするには「幼い自分」をまず受け入れてあげることが大切。自分だけでなく、毒の連鎖を我が子に受け継がせないためにも、心の奥で泣いている“あの頃の自分”と向き合ってみよう。

 人に嫌われるのが怖い。子どもになぜか辛く当たってしまう。他人の目が気になる…。こうした悩みは自分内部の問題だと捉えてしまいやすいが、実は幼き日の親子関係が原因になっている。そのことに気づくことが、人生を変える一番の近道。あなたはありのままで愛される価値があるのだ。

文=古川諭香