昭和生まれのおじさん必読!令和時代に読みたい、あなたと越えます五十路越え

暮らし

2019/8/20

『人生の諸問題 五十路越え』(小田嶋隆、岡康道、清野由美/日経BP)

 50歳からの「悩まない生き方」を掲げる対談集ということで手にとってみた。タイトルは『人生の諸問題 五十路越え』(小田嶋隆、岡康道、清野由美/日経BP)。

「人生」という重々しいテーマにそぐわない、少しふざけた感じのタイトルが気になった。そろそろ50代に差し掛かろうとする人や、過去を振り返ることが好きな人が楽しめる内容になっているのではないかと感じた。

 断っておくと、私は五十路のおじさんではないのでこの本の対象読者ではないだろう。それなのになぜ読んでみたのかといえば、アラフィフのおじさんの考え方を知っておきたいと思ったからだ。この年代は組織の中で意思決定権を持つ年代。そうした人と共通の話題を持っておくことはプラスになることもあるかも、と思ったからだった。

 本書の登場人物は3名。基本的に対談は日経ビジネスオンラインなどの連載コラムを執筆するコラムニストである小田嶋隆氏と、元電通のCMプランナーのクリエイティブ・ディレクターの岡康道氏の二人が進める。時折この二人の脱線気味の話を絶妙なタイミングで修正するのが、ジャーナリストの清野由美氏だ。

 本書は高校と大学で同級生だった小田嶋氏と岡氏の思い出話が中心。会議室のようなところに閉じこもって対談するだけでなく、思い出の場所を散歩しながら、ときには居酒屋でのトークもある。

 読んでみて「おや?」と感じたのは、私が思っていた「おじさん」とは少し年代がズレているということだった。第2章には「僕らを作ったテレビと音楽」というテーマでテレビ番組や音楽の名前が出てくるのだが、それがアラフィフのものにしては古い。さらに読み進めていると、全共闘時代の学生運動を見ながら数年後には自分たちもこれをやるのかと思っていた、という話があり、やはり彼らはもう少し上の世代であることが分かる。

 ここで私の感じた「おもしろポイント」をいくつか紹介したい。

 1つは「バブル期のビジネスモデルをユーミンが一人で作ってしまった」という話。ユーミンのせいで、デートのハードルが上がってしまったと苦々しい語り口で昔を反芻するおじさんたち。

 もう1つは、携帯電話のない時代の連絡方法の話題。自分がデートを楽しむような年齢にはすでに携帯電話が一般的になっていた世代からすると「へぇ~そんなこともあったんだ」と純粋におもしろい。

 当初はアラフィフのおじさんの考え方を知りたい目的で手に取った本書だったが、著者たちが暮らした街の話や、大学の話もその世代の人が青春時代に何を感じて、どういうことに関心を持っていたのか、という観察的な視点で読めば興味深いことがたくさんあった。

 清野氏がいっているように、

男性一人ひとりの胸中には、17歳で成長を止めた永遠の「男の子」が棲んでいて、それが彼らの、(女性サイドには)にわかに理解できない行動や意思決定に関わっているんだな、という発見

 これを楽しめるなら、本書は年代や性別が違ってもおすすめできると思った。

文=いづつえり