片づけられない、捨てられない、モノが多すぎる…その原因は性格じゃなくて「脳」にあるかも!?

暮らし

2019/8/21

『片づけられないのは「ためこみ症」のせいだった!?』(五十嵐透子/青春出版社)

 モノ、ときにはペットなどの動物についても大量にためこんでしまう「ためこみ症」は、ひとつの精神疾患である。2013年にアメリカ精神医学会、2019年に世界保健機関(WHO)の診断基準に新しく加わった。「ためこみ症」の人は、モノを自分の一部のように感じるため、それらを手放すことが難しくなるという。

「部屋の片づけが億劫で…」と感じたことがある人は多いだろうが、『片づけられないのは「ためこみ症」のせいだった!?』(五十嵐透子/青春出版社)によると、「ためこみ症」かどうかという判断は容易ではないという。「片づけが苦手」「モノがなかなか捨てられない」という人は多いが、そのような人がすべて「ためこみ症」かというとそうではないのだ。また、同じくモノをためこむ精神疾患として、強迫症やうつ病、注意欠如・多動症(ADHD)などがあるが、それらも「ためこみ症」とは異なる。

■自分も「ためこみ症」かもしれない? まずはチェックを

 うつ病や注意欠如・多動症などでモノをためこむのは「ためこみ行動」と呼ばれ、「ためこみ症」とは区別されている(ただし主疾患と「ためこみ症」が併発している場合もある)。

 上図は「片づけられないのか/片づけないのか」という違いで読むとわかりやすいだろう。「ためこみ行動」のほうは片づける気力がなかったり、片づけに集中するのが苦手だったりする。一方、「ためこみ症」のほうは、ためこんだモノに対して非常に強い感情や思いを持っており、片づけというものに強い不安や心配がある。

「ためこみ症」は、脳の特定の部位が特殊な働きをすることに加え、心理面と社会面が影響し合っている複雑な状態である。捨てられない理由は「性格」ではなく、「脳」にあるという。

「ためこみ症」の人には以下のような特徴がある。

・モノが自分の一部であり、処分すると自分の一部がもぎ取られる感覚がある
・納豆の容器やラーメンの袋など高価でないモノにも意味を感じ保管・保存する
・モノが多すぎて、部屋を「本来の目的」で使用できない
・家の一部が倉庫化し、生活や健康に支障が出る
・モノの入手がやめられず、必要以上にモノを買ったり無料のモノを持ち帰ったりする

■日々の生活をラクにするためのステップを学ぼう

「ためこみ症」は、モノを手放すことだけが解決策ではない。ためこんでしまう人は、モノをためこむことで不安を紛らわしたり、自分の記憶を繋ぎとめようとしたりするなど、本人の中に正当な理由がある。それゆえ、周りがその人のモノを勝手に捨ててしまうのは、絶対にしてはいけないことのひとつだという。

 本書は、「ためこみ症」の人がモノに振り回されない生活を送るための4つのステップを紹介している。

(1)入手…家のなかに入ってくるモノを少なくする(通販やセール情報を目にしないなど)
(2)整理整頓・処分…仕分けをして、不要なモノを手放す(要るモノと要らないモノの仕分けと処分を1日5分から始めるなど)
(3)保管…モノを保管する期間、場所を決める(モノをカテゴリー別に分けて、どこにしまうか決めるなど)
(4)維持…モノを減らした状態をキープする(買い物から帰ったら1時間以内に所定の位置に保管するなど)

 本書によると、実は人口の2~6%、20人に1人が、この「ためこみの問題」を抱えているという。モノをためこんでしまう背景には、その人の複雑な心理が隠れている可能性がある。その心理を自分や周囲がきちんと理解することで、モノに振り回されない生活を手に入れられる可能性がある。

 溢れかえるモノとの付き合い方に悩んでいるという人は、ぜひ本書を通して、モノと自分の向き合い方を変えるヒントを手に入れてほしい。

文=ジョセート