昔の日本人は、うんこがデカかった? 読めば君もうんこ博士になれる!!

暮らし

公開日:2019/8/29

『うんこミュージアムpresents うんこのひみつ』(うんこミュージアム:著、藤田紘一郎:監修/宝島社)

 2019年3月に横浜駅直通の「アソビル」内に開設された「うんこミュージアム YOKOHAMA」は、わずか1カ月で来場者数が5万人を突破し、7月の終了予定が9月末日まで延長となった。さらに東京への進出も果たし、お台場の「ダイバーシティ東京」には「うんこミュージアム TOKYO」が8月にオープンした。なぜ人々はこれほどうんこに惹かれるのか。デブ症ではないが出不精の私は、うんこミュージアムの公式キャラクターであるウンベルトが、知られざるうんこの不思議な生態(?)や雑学についてガイドする、『うんこミュージアムpresents うんこのひみつ』(うんこミュージアム:著、藤田紘一郎:監修/宝島社)を開いてみた。

 ウンベルトは、うんこミュージアムの守り神であり、便座の上で宇宙の真理に思いを馳せる哲学者でもあるそうだ。座右の銘だという「漏らしても慌てるな。」の言葉は、なんとも心強い。そしてウンベルトは本書において、私たち読者へ「ウンカー」あるいは「ウンカー諸君」と呼びかける。「うんこをする者全員」のことを指し、すなわちうんこをする読者はまぎれもないウンカーの一員であることを、好むと好まざるとにかかわらず自覚させられる。

 来年には東京オリンピックが開催され、日本人選手の金メダルが期待されているように、うんこにもまた理想の色があり、それは黄褐色、金メダルの色だ。「バランスのよい食事をして、規則正しい生活、排便をしている者が手にできる勝者のうんこ色」だと、ウンベルトは述べている。うんこの色は健康のバロメーターであり、黒色系は食道や腸からの出血の可能性が、灰色は胆石や脾臓などの病気も考えられ、「まずは、自分のうんこの色を見極める」ことから練習する必要がありそうだ。

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 うんこの正体は何かというと、「食べた物の残りカス、体の一部(はがれた腸壁の細胞)、細菌とその死骸」なのだが、驚くべきは細菌の数である。うんこ1グラムあたり、100から1000種類の細菌がいて総数は約1兆個にもおよぶ。その細菌には、善玉菌(乳酸菌、ビフィズス菌など)と悪玉菌(大腸菌、ウェルシュ菌など)の他に、普段は中立の立場でありながら優勢な方の味方をする「日和見菌」が存在する。じゃあ、悪玉菌を追い出せば良いかといえばそうでもなく、外から侵入してくるウイルスや有害な菌から体を守ってくれるのは悪玉菌だそうだ。また、日和見菌の多くは土の中などに無数に生息する土壌菌といわれていて、腸の若返りには腸内細菌を刺激するのが有効とされていることから、定期的に土に触れると、うんこの状態も良くなるという。

 そしてうんこの価値は、どうやら私が考えていたよりもかなり高い。1杯で数千円もする世界一高級なコーヒー「コピ・ルアク」は、コーヒーの実を食べたジャコウネコのうんこから採取されたコーヒー豆。コーヒー好きなら、一度は飲んでみたいと思うことだろう。さらに、マッコウクジラのうんこは「龍涎香(りゅうぜんこう)」という希少な香料として扱われ、英国のある夫婦が海岸で拾った1.57キログラムのうんこには5万ポンド(約740万円)の値がつく模様。日本の海岸にも流れ着くことがあるそうだから、「うんこハンター」になるのも悪くないかもしれない。

 こんなに素晴らしいうんこなのに、現代の日本人がひねり出す量は1回あたり200~300グラムで、昔と較べて少なくなってきている。約70年前の第2次世界大戦中には400グラムほどあって、戦地で日本兵のうんこを見たアメリカ兵は、あまりのうんこの量に「日本兵の数を勘違いして退散した」なんてエピソードが本書で紹介されている。当時のアメリカ兵のうんこは100グラムほどで、日本人との差の理由は食生活の違いと見られる。うんこを大きく育てることは健康にも良いそうだから、本書を読んでワンランク上の「ウンカー」を目指そう。

文=清水銀嶺