運命の相手は見つかるか?「婚活男」の涙ぐましい婚活サバイバルストーリー!

マンガ

公開日:2019/9/14

『婚活男。』(おーじろう/総合法令出版)

 婚活パーティーに婚活カフェ、婚活サイトと「婚活」ができる場が実にたくさんある昨今。出会いを求めて積極的に活動している人は多いだろう。本書の著者もそのうちの一人で、35歳のときに付き合っていた彼女から別れを切り出されたことをきっかけに「婚活男」になったという。はじめは甘く見ていた婚活もなかなかうまくいかず、落ち込みながらもさまざまな婚活を体験することとなる。『婚活男。』(おーじろう/総合法令出版)は、フリーランスのイラストレーターである著者が漫画で描いているので読みやすく、キャラクターの表情などからも当時の心境がよくわかる一冊だ。

 まず著者が参加したのが「婚活パーティー」。婚活パーティーと一言でいってもさまざまで、中には年収や大卒、公務員限定などの条件が付されているものも少なくない。また、参加費用は基本的に男性が多め、女性は少なめとするところが多く、著者はその点に納得がいかなかったとつぶやいている。まず、会場に到着したらプロフィールカードを作成し、数分間で全員と1対1で自己紹介をする。その後、いいなと思った相手を数人選び、メッセージを書いたアピールカードが相手に渡るという流れ。緊張のカップリングタイムにドキドキするも、著者は誰ともカップリングできなかったという悲しい結果となったそうだ…。

 本書では、婚活する男性によくある失敗談として、女性のビジュアルばかりに重点を置くことを挙げている。著者はある婚活パーティーで、2人の素敵な女性と出会った。1人は話がすごく合って会話が楽しく盛り上がったA美さん、もう1人は話はいまいちかみ合わなかったが、とにかく顔が好みのB美さん。彼は、結局B美さんを選んでカップリングできなかったという。しかも、わかっているのに同じことを何度も繰り返してしまうのが男の性(さが)なのだろう。婚活パーティーは結婚相手を探す場だ。どんなに顔が好みであっても、話がかみ合わない相手とは付き合うことや、ましてや結婚することは難しいのではないだろうか。

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 そして「フリーランス」は大きなハンデになったという。結婚を意識した婚活では、多くの女性が安定した職業の男性を好む傾向にある。中には、大企業の社員限定、公務員限定とする女性もいるようで、著者が職業を言った瞬間に興味をなくされたことが多々あったと話す。確かに、「フリーランス=収入が不安定」というイメージは持たれやすいかもしれない。また、女性からお断りされる際のメッセージも千差万別で面白い。カップリング後にメッセージのやりとりをしていた女性から、「突然ですがアメリカに引っ越すことになりました。これまでありがとう」というメールが届き、その後ある婚活パーティーで顔を合わせたこともあるという。婚活には強い精神力が必要になりそうだ。

 著者はその後も、婚活カフェやオタク婚活パーティー、お料理合コン、婚活サイトなど、ありとあらゆる婚活を体験する。連絡先を交換できた女性もいたが、なかなか続かないという状況が続く中、婚活疲れをしてしまったという。長期戦になる婚活では心が折れることも少なくない。そんなときはしばらく婚活を休み、自分のペースを取り戻すことも必要だと示唆している。そんな紆余曲折を経て、婚活カフェでM美さんという女性と出会う。共通点が多く、話も盛り上がる彼女とはいつも自然体で過ごせたそう。果たして婚活男の運命やいかに。結果はぜひ本書を読んでみてもらいたい。

 婚活のスタイルや考え方はさまざまだが、大切なのは自分に合ったスタイルを知り自己分析をしっかりと行うことだ。たとえば、実際に顔を合わせる婚活パーティーではコミュニケーション力が必要となるが、文字でやりとりできる婚活サイトではそれほど必要ない、といった具合だ。出会いの数や気軽さ、マッチングのしやすさなども考慮して、自分にはどの婚活スタイルが合っているかを見定めることが重要となる。これから婚活を始めようと思っている人には大いに参考になる一冊だ。

文=トキタリコ