20万部超のベストセラー! ディズニーランドの元キャストが教える“一流のサービス”とは?

ビジネス

2019/9/17

『新版 社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった』(香取貴信/あさ出版)

 家族や友達、恋人など大切な人と最高なひと時を過ごせるディズニーランドは、まさに「夢の国」。工夫し尽くされたアトラクションを楽しめたり、かわいらしいキャラクターたちに会えたりするのはディズニーランドの醍醐味だろう。

 ディズニーランドがこんなにも多くの人たちから愛され続けているのは、キャストが気の利いたサービスを行っているからだ。『新版 社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった』(香取貴信/あさ出版)は当時、ヤンキー上がりだったという著者の勤務経験を通し、働くことの意味や部下をやる気にさせる教育法を教えてくれる1冊。

 本書は2002年に刊行され、20万部を超えるベストセラーとなった『社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった―そうか、「働くこと」「教えること」「本当のサービス」ってこういうことなんだ!』(香取貴信/こう書房)に加筆した新装版。

 アルバイトから企業の現場教育をするまでになった著者の香取貴信さんは、一般企業で働く私たちに“真のサービス”とはなにかを教えてくれる。

■9割がアルバイトでも一流のサービスは提供できる

 ディズニーランドのキャストはゲストを笑顔にするプロ。実は約2万人いる従業員のうち9割はアルバイト。にもかかわらず、キャストは創業当時の創業者の想いを胸に刻み、ディズニースピリッツを持ち続けながら働いている。そんな風にアルバイトが一丸となり、同じ目標に向かって頑張り続けられるのはディズニーランドの教育法に秘密がある。

 キャストの中では「仕事」=「ゲスト」という考えが定着。会話の中心にはいつもゲストがいる。例えば、従業員が遅刻をした時、一般企業では「周りに迷惑がかかるから遅刻はよくない」とたしなめるはず。しかし、ディズニーランドでは違う。

香取さんが今日あの時間に通常どおりに立っていたら、今日のゲストのなかで何人かは香取さんと会って楽しい思いをしてもらえたかもしれないでしょ!!いつもそうやってポジション配置を考えているんだ。だから時間には来ていてほしいんだよ。

 注意された香取さんは先輩のゲスト愛を知り、アルバイトという立場を軽く考えなくなったという。

 一般企業ではディズニーランドのようにゲストをめいっぱいもてなすことは少ないかもしれない。だが、どの会社にも「ゲスト」に当たるくらい大切なものは、必ずある。それをどう守り、継承していくかを考えることは企業を成長させるためにとても重要だ。会社の評価を上昇させるには、若い芽が自律的に伸びていけるようサポートしていくべきなのだろう。

■一流のサービスは感動を呼ぶ

 ディズニーランドは誰もが笑顔になれるように工夫しつくされている。キャストは失敗と学びを繰り返しながら、目の前のお客さんをどう包み、パワーを与えようか試行錯誤し続けている。夢の国が実践しているサービスは“もてなし”の域を越え、感動を呼んでいる。ゲストに対して常に誠実であり続けるその姿勢は、あらゆる接客業が見習うべき見本だといえる。

 刊行から17年もの月日が経ってもなお、他のディズニーランド本にはない圧倒的魅力を放っている本書は「バカッター」という言葉が浸透した今こそ、手に取りたい作品。

 ネットが普及している現代では従業員の言動で社運が左右されてしまうことも少なくない。しかし、教える側が“教育”という小難しい言葉を感情的に振りかざさず、好意的な注意と真剣な叱咤で部下や後輩を包むことが出来たら、サービスの在り方や世間からの企業評価は変わっていくはず。ひとりひとりの従業員が「自分を大切にしてくれる」と感じられる職場作りをしていくと、“バカッター”も減っていくのではないだろうか。

 ディズニーランドの従業員教育には見習うべき点が多くある。アルバイトもれっきとした組織の一員。そう感じてもらえる教育が、今の日本では求められている。

文=古川諭香