友人の寄ったお弁当が気になる三女、自分で何も決められない次女、クチャラー美女の長女…愛すべき不器用な人々を描く日常コメディ

マンガ・アニメ

2019/9/22

『宇宙とかと比べたらちっぽけな問題ですが』(ビーノ/KADOKAWA)

 突然だが、他人から見れば「どうでもいい」と思うことで、ひとりうじうじと悩んだことはないだろうか? 私事で恐縮だが、筆者は、30代に突入してからというもの、顔のシミやシワやたるみが気になって仕方がない。念入りなスキンケアや、動画を見ながらほうれい線を消すマッサージなどを開始すると、時間は瞬く間に過ぎ去っていく。鏡の前で自分の顔を何時間見つめようが、仕事はまったく終わらないし、顔のシミはひとつも減らない。…にもかかわらず、鏡を見てはため息をついて、新たな化粧品を買おうか逡巡する。芸能人でもあるまいし、実にまあ些末な問題で悩んでいるなあと思うのだが、鏡の前に鎮座する行為が癖になっているのである。

 ビーノさんの『宇宙とかと比べたらちっぽけな問題ですが』(KADOKAWA)は、そんな“他者から見ればさほどでもない”と思える悩みを抱く、愛すべき不器用な人々の日常が描かれたマンガだ。登場するのは、東京都日野市に住む、個性豊かな三浦3姉妹と、その周囲にいる何かしらの難がある人々。

 例えば、三浦家三女の、のの(14)は、しょうもないことがとにかく気になる。友人の中身が寄ったお弁当や、会話中に飛んだ大きめのつば、地域や家庭によってまったく違うお雑煮など、気になることが多すぎて、頭の中はいつも忙しい。

 また、モテるけれど優柔不断な次女・ねね(16)は、姉や妹に相談しないと何も決められず、初デートの場所でさえも、何十もの行き先候補を、単語帳を分解した紙に書きだして並べ、最終的にくじ引きで決める女子高生だ。(ちなみに当日は不審に思われながらコストコへ行った)。

 さらに、実家近くで一人暮らしをする長女のなな(19)も侮れない。スタイル抜群の美女なのに、クチャラーな上に、面倒くさがり。隣人もびっくりの汚部屋で暮らしている。そんな彼女は、書店でアルバイトをしているのだが、イケメン店長(36)に文庫本のポップを頼まれると、熟考の末、芥川龍之介の『羅生門』に

「死人(しびと)の髪の毛を抜く」というパワーワード 芥川まじやばたん!!

…という、ヴィレヴァン風の紹介文を真面目に書いて店長を絶句させていた。

 また、本書では他にも、告白するために女子を呼びだすものの、18回連続で、何も言えず帰ってしまう中学生男子の話や、触るための口実に「疲れてない?」「マッサージしようか?」と聞いてくる男性がどうしても無理で、結婚したいのにできないアラサー女子たちが登場する。彼らが抱えている問題は、些細なものかもしれないが、超高速で頷きたくなるほど共感してしまうものも多かった。そして、一見澄ました顔のあの人も、脳内では実に人間らしい、どうでもいいことで悩んだりしているのかも…と考えると、何だか楽しい気分にもなってくる。日常に根ざすおもしろさを描いた温かいマンガである。ぜひ読んでみてほしい。

文=さゆ