受講生が見ちがえるように変わった「心理学×美術」講義! 自分の魅力を発見する秘訣とは?

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2019/9/23

『私だけの魅力をつくる アートセラピー・ノート』(有賀三夏/大和書房)

『私だけの魅力をつくる アートセラピー・ノート』(有賀三夏/大和書房)は、芸術大学の人気講師で、卓越能力保持者としてアメリカのアーティストビザを持つ著者の「アートセラピー・ワークショップ」に参加しているような体験ができる1冊だ。本書を通じて、ステップ(説明)とワーク(実践)を繰り返しながら、自然と自分が漠然と持っていた想いを、明確な形として残すことができるように趣向が凝らされている。

 読者がまず課されるワークは、“自分の種”を思い浮かべることだ。何種類かの挿絵を手がかりに、自分の種の形状、色や感触を想像していく。筆者は、絹さやのように緑色で瑞々しくツヤっとした皮の中に、3つほどの種が等間隔に並んでいる姿を想像できた。種が何を象徴しているかを知るステップを経て、再びワークに取り組んでいく。

 考えるだけでなく、ワークの実践によって書く(描く)ことで、目に見える形で想いを表し、そして残せることが本書の最大の特徴。ステップとワークの繰り返しで、最終的にどんな花を咲かせたいかという「想いの具体化」に、どんな読者でもたどり着くことができるのだ。

 種をまけば、芽が出る。芽は環境や競合相手など、さまざまな関係性の中で生き、互いに影響しあうようになる。そしていつしか花が咲く。花が咲いて終わりではない。咲いている花は何を意味しているのか? 花をどのように使いたいか? …そうした想いとともに花は散り、また次の種につながっていく。このように大きなサイクルを意識して物事が捉えられるようになると、自ずと現在の自分や自分のやっていることを俯瞰して見ることができるようになるので、選択に自信が持てるようになるという。

俯瞰ができるようになると、その先にあるものが想定できるので、「ハッピーエンドにしたいなら、こちら側に進めばいい」ということが断然わかりやすくなります。
すると、「自分の行く先は自分が選ぶ環境によって変えられる」ということがわかり、「どうせできない自分が嫌い」という意識から、「できるかもしれないと思える自分が好き」に変化します。

 俯瞰できる能力は、モチベーションの維持だけではなく、維持できないと思ったときには迷わずそれをやめるという勇気にもつながる。むしろ、「やめる」というよりも、「実を収穫する」と捉えるべきだと本書を読むと思えるようになる。

 実を収穫したら自分のために使うのもいいし、誰かにプレゼントしてもいい。自分の技能や経験を共有する相手を見定め、どのように高めあっていくべきかと模索する視点は、「宝の持ち腐れ」にならないためにも不可欠だ。

「実をよいコンディションで収穫する」というのは、見えてきた個性や武器、おまもりを観察して理解するという段階です。“なぜか完成しちゃった”というふんわりした感じではなく、“なぜできたのか”ということを考察してみてほしいのです。

 置かれた場所に咲いただけではまだ不十分なこともあるし、適材適所の条件も永遠ではない。つぼみの段階から花をイメージする。花が咲いても安易に満足せず、本当に理想的な咲き方をしたのか追求する。さらに、他の人の花がどんなふうに咲くかを案じ、期待する。こうした自他を含めた多重なサイクルをうまくコントロールすることで、「私だけの魅力」がつくりあげられていくのだと本書は教えてくれる。

文=神保慶政