“会社のため”に休んでませんか? サラリーマンでも年に10回以上、海外旅行を楽しむ時短術

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更新日:2019/10/1

『人生の中心が仕事から自分に変わる! 休み方改革』(東松寛文:著、田中正秀:監修/徳間書店)

「働き方改革」という言葉があちらこちらで聞かれる。働き方を改革するためには、休日の過ごし方も重要になってくる。休日の質が、労働の質に直結するからだ。しかし、会社は「働き方」は教えてくれても、「休み方」は教えてくれない。それどころか、実際は「休みたいけれど休ませてくれない」「休みをとっている余裕がない」「周囲の目があって休みにくい」という状況が少なくない。

『人生の中心が仕事から自分に変わる! 休み方改革』(東松寛文:著、田中正秀:監修/徳間書店)は、読者に問う。

本当は「自分のため」の休みであるはずなのに、無意識のうちに「会社のため」に休んでいる人も多いのではないでしょうか。

 サラリーマンあるある、なのかもしれない。会社のための休日である限り、本当に充実した休息はとりにくい。冒頭で述べたように、働き方を改革するために、休み方を改革することが急務だ。

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 本書の著者は、サラリーマンでありながら、週末に海外旅行を満喫している。旅行した数は、2013年に8回、2014年は4回、2015年も4回、2016年はなんと18回、2017年は13回、そして2018年は12回。6年間で実に59回も海外を旅行している、稀有な“リーマントラベラー(自称)”なのだ。著者は、入社したばかりの頃は、仕事が人生のすべてだった。海外を旅行するなんて、夢物語。そんな著者が、他のサラリーマンができない海外旅行を何度も楽しめるようになったのは、本書が伝える「休み方改革」を行なったおかげだという。

 本書の休み方改革は、誰でもできることが魅力だ。「労働者の権利なので休日をもらいます」と勇気を振り絞って叫んだり、休めるかどうかの根回しの手間をとったりする必要がない。海外に行くのは週末だからだ。

 週末をフル活用した海外旅行人生は、次の方法で生み出す。

(1)この週末に休みを取る、と自分で決める
(2)チケットを購入する
(3)何が何でも金曜日の定時までには仕事を終わらせる、と自分で決める

 このような順序で、金曜日の夜には空港へ向かい、土曜日の朝を海外で迎えることを自己決定する。

 気付いた人がいるだろう。週末を活用するとはいえ、金曜日は定時で上がる必要がある。通常は、金曜の定時上がりの許可をとってからチケットを買うところを、本書の方法では先にチケットを買う。金銭的リスクを最初にとるのだ。

 チケットを買ってしまえば、週末に海外で過ごすという目的のため、効率化する、すべての締め切りを自ら前倒しで設定するなど、主体性と熱意をもって仕事に打ち込めるようになる。そして、定時上がりの相談も、情熱をもって当たることができる。

 とはいえ、定時上がりの許可も、そう簡単にもらえない職場がある。そういった人たちは、本書の“休みをとるためのコツ”を参考にするとよさそうだ。例えば、断りづらい理由を使う。「死ぬまでに一度は参加してみたかった海外でのイベントがある」「いつか行きたいと思っていた航空券がいつもより10万円近く安くなっている」などの文例が挙げられている。

 海外旅行から帰ってきたら、アフターケアも重要だ。例えば、批判を受けないよういつも以上に熱心に働く、おみやげは小分けのものを買い個別に感謝を伝えながら渡す、周囲が休むときは積極的にその人の仕事を引き継ぐ、など、こちらも多彩な“コツ”が挙げられている。

 本書は、「休み方改革」を、単なる休みのとり方のコツとして勧めているわけではない。休み方改革によって、仕事を主体的に捉えられるようになり、ひいては自分らしさを見つけることにも繋がっていく、という素晴らしい体験を共有したいと考えている。

 仕事に潰されそうになっているサラリーマンは特に、本書で自分の身を守る考え方と方法を知ってもらいたい。

文=ルートつつみ