ゾーキン片手にお掃除をする猫が可愛すぎる…! ホンワカ楽しめる1人と1匹のマンガ『猫の手を借りてる』

マンガ・アニメ

2019/10/1

『猫の手を借りてる』(ごじょうふみえ/双葉社)

 猫というのはとても魅力的だ。ご飯を食べたり、眠ったり、遊んだりしているだけで、人間の心を温かくさせる。ただそれだけでもう十分に可愛い猫ちゃんが、ある日突然、人間の言葉をしゃべりだし、おまけにゾーキン片手にお掃除まではじめてしまったら、あなたは一体どうなるだろうか?

 ごじょうふみえさんの『猫の手を借りてる』(双葉社)は、そんな「ことばをしゃべるおそうじ猫」の可愛らしさが、80年代を想起させる、ホンワカとした優しいタッチで描かれているマンガだ。

 物語は、1人暮らしと思しき女性の家に、床をゾーキンでピカピカに掃除する、1匹の猫が現れるところからはじまる。女性は「へ へんなもん見た気がする」と驚くが、猫はなんと、「しつれいですよ」と日本語で対応する。そして、人間並みに話すことができることや、借金を残して飼い主が自殺してしまったこと、放浪の中で床磨きを身につけた生い立ちを語り、「ここにおいて下さい」とお願いしたのである――。

 本書は、人の言葉が話せて、いつも床をピカピカに拭いてくれて、努力家で優しい猫と、おおらかでちょっぴりお調子者のお姉さんの生活を描いた物語だ。

 猫は、とってもキレイ好きで、「小さな黒い鳥のおともだち」がたくさんお家に遊びに来て、床を汚して帰っても、喜んで掃除をする。猫の飼い主になったお姉さんも、怒ることなく、鳥たちにご飯を与える。そして実はこの猫ちゃん、ミルクで酔っ払ってしまう体質なのだが、猫が酔ってしまった際、お姉さんはビールで付き合い、お互いに芸を披露し合って宴会を楽しんだ後、1人と1匹がくっついて眠るシーンには、胸がキュンとなった。

 また、猫は(身体の仕組みのため)料理は苦手なのだが、作り方は熟知しているので、お姉さんに細かくアドバイスを送ったり、時には食費がかさむのを心配して、お姉さんの行きつけの美容院でゾーキンがけのバイトをはじめたりと、とても働き者な上、面倒見が良い。「四角い部屋を丸く掃除する」タイプの大雑把なお姉さんとの相性も抜群で、2人の楽しそうな暮らしを見ているだけで、心の痛みが和らぎ、ホッとするような気持ちになった。

 さて、本書では後半に、なんとお姉さんと猫の家に、5匹の捨て猫がやって来て、さらににぎやかな生活となる驚きの展開が待っている。そして、何かと謎が多い神出鬼没の猫飼いの友人・ヨーコも登場し、物語をかき回す。有能な猫ちゃんがチャーミングで魅力的なのはもちろんのこと、心に灯がともる優しい展開に、読後は肩の力がフッと抜けるのを感じた。力を抜いて楽しめる、ほのぼのとした作品だ。ぜひ読んでみてほしい。

文=さゆ