「膣」を大切にして自分自身を好きになろう! すべての女性必読のエッセイ

健康・美容

公開日:2019/10/2

『感じるところ』(森田敦子/幻冬舎)

 あなたは女性の「膣」についてどれだけのことを知っているだろうか。中には膣という言葉を聞いて、「恥ずかしい」「汚い」という印象を持つ人もいるかもしれない。しかし、女性にとって神聖な場所ともいえる膣膣の周りの環境を整えることによって、より女性は輝くことができると著者は説く。本書『感じるところ』(森田敦子/幻冬舎)を執筆したのは、前著『潤うからだ』が好評であった森田敦子さん。日本の植物療法の第一人者でもある彼女は、植物病理学の本場フランスで学び、そこで「膣ケア」に出会うこととなる。本書では、セックスする際に男性器を挿入する部分というだけではない、膣の働きやケア方法などについて詳しく紹介している。

 著者によると、膣とは「子宮という臓器と体の外側を繋ぐ、窓のような存在」だそうだ。胃や膵臓などは外から触れることはできないが、子宮は膣口から指を挿入することで直に触れることができる珍しい臓器。インド伝統医学のアーユルヴェーダでは、体を動かす元となるエネルギーは膣まわりからスタートするとも考えられている。著者自身、膣が女性の体の中心的存在であることをフランスで学んだという。

 まず、著者がすべての女性におすすめしているのが、自分の膣を見てみること。実際に手鏡などを使用して膣を見たことがある人はどれくらいいるだろうか。膣まわりにはさまざまな部位が存在していて、実際に目にすると色や形が気になる人も少なくないという。特に、デリケートゾーンは年齢とともに自然に黒ずんでいくそうだが、やはり気になってしまう人が多いだろう。外見を確認したら、自分で膣の中を触ってみることも大切だ。「いやらしい」「怖い」などと感じる必要はなく、自分の膣の形状や感触などを知ることで、自分自身を大切に思うきっかけになるという。

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 著者が推奨する膣のケア方法とは、(1)清潔にする、(2)保湿する、(3)筋力をつけるの3つ。まず大切なのが、常にデリケートゾーンを清潔にしておくことだ。膣まわりはとても繊細な粘膜でできているため、一般的なボディソープでは刺激が強すぎるそう。できればオーガニック成分などが配合された刺激の少ない専用ソープで、「手で洗う」ことが重要となる。ソープをたっぷりと泡立てて、優しく丁寧に洗っていく。毎日しっかりと洗うことで、かゆみやにおいなども解消されやすくなるようだ。

 お風呂あがりに顔を化粧水や乳液などでしっかりと保湿する女性は多いが、膣まわりを保湿する人は少ないはずだ。こちらも体に優しい成分が配合されたデリケートゾーン専用クリームやオイルなどを使用し、細部に亘りしっかりと保湿剤を塗り込んでいく。肌がしっとり潤えば、乾燥による性交痛も軽減されるというからぜひとも試してほしい。また、膣まわりの筋肉を鍛えることにより、さまざまな病気を予防し、セックス時の膣圧を上げる効果も期待できる。詳しいトレーニングの方法については本書を参照し、毎日実践してみてはいかがだろうか。

 本書には他にも、生理中のケアやアンダーヘアの処理問題、女性が快感を得ること、膣と心の関係、婦人科との付き合い方など、女性なら誰もが直面する問題や心配事などについて詳しく解説してある。日本ではなんとなくタブーとされている女性器についての話題は、誰に聞いていいのかわからないものだ。フランスではまだ幼い頃から、母親、もしくは学校で女性の膣まわりについての教育がしっかりと行われるそう。もし今何らかの悩みを抱えている人は、一人で悶々と悩む前にぜひとも本書を手にとっていただきたい。自分の膣環境を知り正しいケアを行うことで、生理や妊娠、出産、更年期障害など、さまざまなステージで直面する女性特有の悩みや不安が解消できるかもしれない。また、この機会に、気心の知れた友人と膣について話してみるのもいいだろう。本書があらゆる年代の女性たちの強い味方となってくれることを願ってやまない。

文=トキタリコ