SNSで話題沸騰&はやくも続編を切望する声多数。究極の胸キュンストーリーにときめきが止まらない!

マンガ

公開日:2019/10/13

『ちぐはぐな彼らの恋のゆくえ』(こう森/フロンティアワークス)

「胸キュン」という言葉があるように、誰かにときめいたとき体の一部分を締め付けられるような感覚を覚える人は多い。その部位はさまざまで、ちょうど心臓に近い位置の人もいれば、鎖骨付近がほんの少しこそばゆくなる人もいる。『ちぐはぐな彼らの恋のゆくえ』(こう森/フロンティアワークス)は、そんな各々の“キュンポイント”を刺激してくれる究極のラブコメディである。

 華やかなキラキラOLの天海岬(あまみ・みさき)は、人生最大のピンチを迎えていた。参加した対戦ゲーム大会で、会社の同僚にゲームオタクだとバレてしまったのだ。混乱のあまり会場から逃げ去った岬だったが、長年の秘密を守るために翌朝、百川太郎(ももかわ・たろう)に詰め寄る。「バラされるかも」という岬の不安を知ってか知らずか、百川は拍子抜けするほどに通常運転。こうして、ひょんなことからゲーム仲間になったふたりは頻繁にコミュニケーションを取り始めるのだった。

“百川がそんなイケメンに見えるなんて そんなありえないから!!”
“あーほんともうやばいかも…”

 やがて、自分の恋心に気付いてしまった岬の脳内は大パニック。いまいち本心が掴めない百川の言動に戸惑いながらも、次第に距離を縮めていくのだった。はたして、一見アンマッチに思えるふたりの恋は実るのだろうか。

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 本作は3つの短編が詰め込まれたオムニバス集。岬と百川の恋模様のほか、岬の親友である竹内かぐやと白雪鏡介(しらゆき・きょうすけ)の物語や、百川の上司である灰被真(はいかずき・まこと)と恋人の物語が描かれている。なかでも、筆者がもっとも心を掴まれたのは、かぐやと鏡介のじれったい恋模様だ。幼馴染としてきょうだいのように育ったふたりだったが、鏡介はかぐやに特別な想いを抱いていた。たとえ、かぐやが自分のことを異性として見ていなくても――。

“つーかかぐやが鈍感なだけ。俺はべつにすきでかぐやの兄貴になったわけじゃない”
“鏡にいが彼氏だったらどんな感じなんだろう 好きとか言うのかな どんなキスをするのかな”

 SNSで書籍タイトルを検索すると「この1冊で完結なんて……」と数多くの嘆きの投稿が寄せられており、人気の高さが窺える。ときめき不足中の方は、キュンフレーズが鏤められた本作で心が軋むような“胸キュン”を感じてみてはいかがだろうか。

文=山本杏奈