乱歩の傑作が丸尾ワールドに! 芋虫人間との淫靡な関係を綴る湿った一作!

2012/5/17

芋虫

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / エンターブレイン
ジャンル:コミック 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:丸尾末広 価格:450円

※最新の価格はストアでご確認ください。

戦争により廃兵になった夫の姿は想像を絶する酷さだった。四肢は切断され、声帯と内耳の損傷、唯一残るは両目の視界だけ。まるで芋虫のような姿に成り果て戦地から戻ってきた男の余生はなんたる惨めなものか。夫は過去の栄光が載った新聞と勲章を眺めるのを楽しみとし、妻は芋虫のような夫をかいがいしく介護する。周囲からは妻の鑑と賞されているが、その実態は芋虫夫を淫具として扱い、二人は日々淫行に耽っていた。

あまりに有名なこの乱歩作品「芋虫」を鬼才丸尾末広が脚色、漫画化した作品。
しかし、丸尾作品は人を選ぶ。好きでない人には耐え難いグロさが、好きな人にはたまらないと思う。先に申し上げておくが、私は乱歩ファンであって丸尾ファンではない。丸尾ファンではない以上に、漫画・実写化作品(土ワイ含。好きでしたけど!)はすべて別のものだと思っている。

たとえば、丸尾の描く「夫」の姿は丸尾自身の「夫」だ。これこそ乱歩! とおっしゃるむきもあるが、「抑えて抑えてが一番エロ」派なワタクシとしては、あくまでこれは丸尾自身の「夫」であり、「芋虫」だ。

丸尾末広の描く芋虫の世界は、綺麗な画集のようで1コマ1コマじっくり画を鑑賞できる。小説では味わえない魅力だろう。細部にまでこだわった画は、その時代の建物、小物、風景、そして人間の陰影を、丸尾節の湿度たっぷりで描いていており、始終ジメジメ感が付きまとう。ストーリーは原作に忠実だが、丸尾オリジナルのバナナプレイを追加したこと等により、戦争の犠牲になった酷さよりも人間の欲望の怖さ、どんな絶望的な状況でも快楽により一時喜びを感じる人間の生命の強さをより強調したものに感じる。

電子書籍特有の白と黒のコントラストの画面はコミック本で読むのとまた違った恐怖感を与えてくる。電車の中で読んでいると周囲を気にせずにはいられないような作品なので自宅でじっくり味わっていただきたい。


巻頭のカラーページ。丸尾末広の芋虫の世界観をカラーでじっくり堪能

芋虫のようになってしまった夫とのご対面。あまりの光景に思わず気絶する妻、時子

欲望のみに生きるかのように見える夫

日常の買い物のように見えてその使い道は…必見です(笑)

貞淑な妻に見えてじつは…

この後の惨劇、そして…