日ごろカレーに市販ルーばかりを愛用している方々に

2012/5/17

インド家庭料理入門 -アーユルヴェーダで食べる朝昼夕晩-

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 農文協
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:eBookJapan
著者名:ロイチョウドゥーリ・ジョイロイチョウドゥーリ・邦子 価格:756円

※最新の価格はストアでご確認ください。

インド料理を紹介するにあたって、冒頭から、著者の体験談で読者は一気にジモティなインドのレベルに引き込まれます。アユールヴェーダというとなにか怪しげで神秘的な響き、「奥義を伝授」してもらうような気持ちになりますが、実際のところ、インドの生活レベルに浸透している「おばあちゃんの知恵」的食べ物と生活習慣に関する「やりかた」のようなものだと解釈しました。そうなると、「うなぎの後に梅干だめよ」とか、「てんぷらのあとにスイカ食べないで」とかいう日本のなんてことない「お母さんの忠告」を聞いているような感覚と同じなのかと、親しみやすさ倍増。

本文は冒頭からしばらく、インド人と結婚して、地元の世界にディープに溶け込んでいる著者ならではの楽しい話が続きます。そしてようやく、レシピの紹介となるわけですが、こちらはきっとご主人一家に伝わる品々がベースになっているのでしょう。シンプルな惣菜を見るような簡単なカレーがどんどん載っています。この気軽さ、この品数の多さ、この手間のかけなさ具合がまさに「インド」なのでは。

日本人にもなじみが深いカレーは、誰もが一言もち誰もがそれなりのこだわりを持って、専門店など行くとラーメン同様、ルーひとつとっても秘伝のレシピが存在したりしますが、こういう地元密着型のレシピ本を読んでいるとそんなに難しく考えなくても、みーんな「カレー」なんだ、と安心するような気持ちになります。私もスペイン在住以来、日本のあの「カレールー」が手に入らなかった時期が長かったゆえ、一からカレーを作るようになりましたが、「カレーは市販ルーがないとダメ」という常識を覆すと、日々のカレーのバージョンが本当に豊かになります。どんな料理でも本場の味というものに憧れながら料理を作るわけですが、こういう1冊は、日ごろの「料理の常識」の呪縛を解いてくれる格好の機会になると思います。なんたって、簡単なのが魅力的。

著者があとがきに「とにかく広くて深い国。ひとつの答えなんてありません」と書いていますが、カレーにもこの精神をぜひ活用したいもの。こうしたレシピでどんどんカレー観を広げてゆき、おなかの具合、天気や素材によって香辛料のさじ加減を変えられるようになる、とそれが実は「アユールヴェーダ」なのかもしれません。医食同源の食卓、常々憧れます。


インドには強烈なデトックス効果がありそうです。料理にも、メンタリティにも

みんなターメリック色かというとそうではありません

どんな国でも「ハレ」の料理は見ているだけで楽しい!

こういうなんでもないレシピで、実はカレー観を変えてゆけるのかも (C)ロイチョウドゥーリ・ジョイ、ロイチョウドゥーリ・邦子/農文協