ステキに詩的な屍体色の文学を喰らえッ!

小説・エッセイ

公開日:2012/5/17

ポー/怪奇傑作集「アッシャー家の崩壊」

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : グーテンベルク21
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:BookLive!
著者名:エドガー・アラン・ポー 価格:324円

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作品の色、という表現があります。
映像作品や文学、絵画など、創作物には、少なからず著作者の色、カラーが出る、とも言われたりしますね。例えば、日本が誇る映画監督である北野武監督は、独特な青みがかった絵作りの手法でもって、“キタノブルー”などと評されています。青以外にも、黒や白、あるいは赤。と、世にあふれる作品群は、しばしば様々な色によって表現されてきました。

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―――屍体色。
本作から感じられた色は、乳白色を帯びた薄紫、あるいは陶磁器のような青白さ。眼前に広がるのは冷たくも美しく、どこか生臭く匂い立つような色でした…!

近代の幻想・怪奇文学の父とされるエドガー・アラン・ポー。本作はその短編を収録した作品であります。
収録作品は以下…

・アッシャー家の崩壊
・早すぎる埋葬
・落とし穴と振り子
・瓶の中から出た手記
・奇態の天使

…の5作品。中でもアッシャー家の崩壊や早すぎる埋葬は、生きたまま埋葬される者の煩悶を取り扱った、非常に有名な作品です。

面白いのは、綴られる登場人物たちが、狂人ばかりではないにせよ、常に死の恐怖、闇への恐怖、俗世からの隔絶への恐怖を漂わせ、まるで生き生きしていないところでしょう。しかし、躁病のように勇気に満ちあふれ、悪を挫くような英雄譚が、“普通ではない”ように、死の恐怖や杞憂に恐怖するが故に、非常に人間臭く、リアルに感じられます。屍体色とは、死の色でもあり、逆に生を強調する、“ついさっきまで生きていた”色でもあります。

生きている、というそのすぐ側にひっそりと、確かに寄り添っている恐怖! 屍体色の詩というような独特の文体は、ホラーの原点である感情をじわりじわりと刺激し、いつしか不安の迷宮へ…。

古典というにはあまりにも斬新な作品世界。
あの平井さんがペンネームにするのも、大変納得ですねぇ。


見てくださいよ、この彩度の低い冒頭を!

墓地からモンスターを1体特殊召喚するゼ!

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