シリーズすべての流れを解説!『PSYCHO-PASS サイコパス3』放送直前振り返りレビュー ~心が数値化される未来の“正義”とは?~

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更新日:2020/4/24

【2019年公開】『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System』

『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1「罪と罰」』(斎 夏生、 サイコパス製作委員会/マッグガーデン)

 『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System』、通称「サイコパスSS」は、2019年の1月から3ヶ月連続で公開された劇場版3部作である。サイコパスSSは、「Case.1罪と罰」、「Case.2 First Guardian」、「Case.3恩讐の彼方に__」、という形で分かれており、それぞれで主役が異なる。

 Case.1では、監視官・霜月と執行官・宜野座の2人を主軸に話が展開していき、Case.2では、第2期から刑事課一係に転属した須郷徹平(すごうてっぺい)と、宜野座の父である執行官・征陸智己(まさおかともみ)の2人の過去が描かれている。

 特に注目なのが、Case.2に出てくる外務省の花城フレデリカと名乗る謎の人物。花城はかつて須郷が軍事ドローンのエースパイロットとして活躍していたことを知り、須郷に対し「準軍事的活動を想定した部隊へ入らないか?」と勧誘しに来る。須郷はその誘いを断ることになるが、花城はCase.3にて今度は逃亡中の狡噛に接近することになる。

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 Case.3は、シャンバラフロートのサイコパス偽証事件を経て、傭兵としてアジア各地を放浪中の狡噛に焦点を当てた映画だ。武装ゲリラに家族を殺され、復讐に囚われている少女・テンジン・ワンチュクとの出会いを通して、己の在り方について考え直していた時、狡噛の前に現れる花城。花城に今の自分の心理を看破された狡噛は、日本への帰国を決める。

 以上が、Case.3の概略だが、やはり花城の動向は気になるポイント。サイコパスSSでは、花城の思惑について、厳密に説明されておらず、その素性も明らかにされていない。Case.3では何者かと通信する様子も描かれていたため、この辺りは第3期の伏線として機能しているものと推測される。

【2019年10月17日~放送開始】『PSYCHO-PASS サイコパス3』

 第3期は、新たに公安局刑事課一係に配属された監視官・慎導灼(しんどうあらた)と、同じく監視官・炯(けい)・ミハイル・イグナトフの2人を主役に展開する物語。慎導灼は、特A級メンタリストという変わった肩書の持ち主で、高度な共感により追跡対象者になりきる能力を持つ。一方、ミハイルはロシア系移民の二世かつ、軍事訓練を受けた元兵士だ。

 ちなみに、霜月については出世したようで、公安局刑事課課長、統括監視官という新たな役職に就任している。しかし、そのほかの旧・キャラクターについては、情報が明らかにされていない。だが、公式サイトのキャスト紹介を見る限り、常守、狡噛、宜野座などの名前が確認できるため、第3期に登場することは間違いないだろう。また、サイコパスSSで登場し、意味深な言動を残した花城フレデリカの名前もある。

 これは推測になるが、第3期は新・刑事課一係の慎導・ミハイル陣営と、旧・刑事課一係の常守陣営の2つの軸で話が進んでいくのではないだろうか。サイコパスSSの伏線を回収しつつ、両陣営の動きを最終的に1本の線でつなげていく、そういった話の展開が予想される。

 第3期を控え、「大塚明夫さんが出演だとぉ?!神やぁ…」、「声優に梶くんと中村さんがいる時点で見るの確定だわ!」と、SNS上では、中村悠一や梶裕貴、大塚明夫、諏訪部順一、宮野真守など、豪華声優陣の起用に歓喜する声が上がっている。

 第3期も、これまでのシリーズと同様、視聴者の倫理観や正義感を揺さぶる作品になるはず。「正義とは何か?」この問いに対して、第3期を観終わった後、あなたもきっと何かの答えに辿り着くだろう。

文=木島祥尭