家事に忙しい妻を他人事として見ていませんか? 夫婦円満の秘けつは“ねぎらう気持ち”。声をかけるタイミングは?

恋愛・結婚

公開日:2019/10/23

『まんがでわかる 妻のトリセツ』(黒川伊保子/講談社)

 夫婦生活は妻と夫の“二人三脚”で成り立つものだが、足並みが揃わないと感じると、波風を立てないまま暮らすのは難しくなる。そもそもは他人であったはずの2人が、一つ屋根の下で生活するのは大変なもの。ちょっとした考え方や生活習慣の行き違いで、ときには大ゲンカにまで発展することもある。

 じつは、ちょっとしたいさかいの場で大切なのは夫から歩み寄ろうとする気持ち。そう思わせてくれるのが、日常でありがちな妻の“地雷”をふまないための指南書『まんがでわかる 妻のトリセツ』(黒川伊保子:著、堀田純司:シナリオ、井上菜摘:漫画/講談社)である。

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■男性と女性では“家事”に対する見方が異なる

 ストーリー仕立ての本書は、とある夫婦の日常を描きながら展開していく。ページを読み進めるたびに、夫側としては自分の日頃の振る舞いを思い出して“ハッ”とさせられるような、何とも居心地の悪い感覚に陥ってしまうのも本音だろう。

 例えば、本書にある“家事”についてのすれ違いに言及した章はそのひとつ。妻との関係を見直そうと作中で著者からアドバイスを受ける夫は、「家事の大変さ」に気がつき妻をねぎらう必要性を学ぶ。

 ささいなこと、と考えていたすれ違いから、大ゲンカに発展したある夫婦。仕事から帰った夫は、食卓にある「わたしはあなたのお母さんじゃない」「実家に帰ります」とつづられた手紙を見つけ、ひとりぼっちになってしまう…。

 日に日に散らかっていく部屋を見て、妻がいてくれたときは「着ていくシャツも毎日ちゃんと用意してくれていた…」と振り返る夫。作中の著者は、彼に対して「着た服を洗濯機に放り込めば、それできれいなシャツが出てくるわけじゃない」と声をかける。

 家事というのは細かなプロセスの連続。ひとくちに「洗濯」といっても、「柄物は分ける」「洗剤を選ぶ」「シワを伸ばして干す」などの細かな作業をきちんと積み重ねなければならない。毎日のゴミ捨てや、洗面台に替えのタオルを用意することなどもすべて当てはまるが、これら「名もなき家事」が生活を支えているのだ。

 しかし、夫はなぜこのようなことに気がつきにくいのだろう? それは、男性脳がそもそも瞬間ごとに周りの危機を察知するような傾向にあり、女性のように「長い行動計画をイメージするのが苦手」だから。また、優秀な妻ほど「自分でやったほうが早い」と思ってしまい、そのせいで夫はますますすべてが自然に手元にあると感じてしまう。

■できる限りの範囲で引き受ける“心がまえ”が大切

 作中の夫に「まずはねぎらうべきだった」と語りかける著者。さらに、妻の負担をより気遣ってあげるのならば、日常的にある「名もなき家事」のどれかひとつでも「自分でやろう」と思うのが妻を喜ばせるための秘けつだと話す。

 例えば、毎日食べるお米を切らさないというのもそのひとつ。重くて運ぶのが大変な米袋を買って帰るのも、毎日こなさなければならないタスクではないので、できるはず。また、料理が苦手でも、肉を焼くなどの簡単な調理を担当するのもひとつの方法だ。他のおかずも並行して作っている慌ただしい妻を、そばで支えられるはずだ。

 そして、何よりもねぎらいの言葉をかけることが肝心。暑い夏に熱のこもった台所で天ぷらを揚げていたら、「こんな暑いときに台所仕事は大変だよね、いつもありがとう」と声をかけてみたり、恩着せがましくならないようなペースで、さりげなく日頃の感謝を伝えるのも大事だ。

 ごくふつうの日常生活が送れるのは「幸せ」であると伝える著者。夫婦の形はそれぞれであるが、夫が望むモノが当たり前のように手元にあるのは、妻が陰で支えてくれているからこそ。たがいに“ありがとう”と思う気持ちが、円満な夫婦生活には必須の心がまえだと気づき、自分は次に何をすればいいのか考えるようになるはずだ。

文=カネコシュウヘイ