ユーモアと国語力が身について人気者になれちゃう!? ダジャレが物語になった新感覚絵本

文芸・カルチャー

公開日:2019/10/26

『だじゃれものがたり タンチョウヅルのたんじょうび』(風木一人:作、/田中ひろみ:絵/KADOKAWA)

「ふとんが“ふっとん”だ」「チョコを“ちょこ”っと食べよう」……ダジャレって面白いですよね! 面白いことが大好きなうちの子も、やっぱりダジャレに興味津々です。

『だじゃれものがたり タンチョウヅルのたんじょうび』(風木一人:作、/田中ひろみ:絵/KADOKAWA)は、ダジャレをつなげて物語に仕上げた新感覚絵本。ダジャレを言う動物たちの表情がなんとも楽しそうで、やりとりが可愛くて、ププッと吹き出しながら何度も読み返したくなる一冊です。

■子どもと一緒に大人もゲラゲラ!

 タンチョウヅルの誕生日、ドジョウが“どーじょ”とご馳走を出したら、カレイが“カレー”を食べてしまったから、さあ大変! そんな風に物語は進んでいきます。ダジャレの箇所にわかりやすく色がついているので、読むときは「ドジョウが…“どーじょ”!!!」と強調すれば、子どもがもっと喜んでくれるかも。

advertisement

 パパが読み聞かせをするのもおすすめです。筆者宅では、面白い顔をしながらダジャレを読むパパに、3歳の息子がゲラゲラと笑っておりました。息子の笑いに、パパは自分がウケたかのように上機嫌。

■ダジャレで国語力がアップ

 何度か読んでいるうちに、息子は本の一部をそっくりそのまま覚えていました。物語になっているから覚えやすいのかもしれません。覚えたダジャレを日常生活で使う日がやってきそうです。「アザラシが“あざらし”いげいをおみせします」「オットセイが“おっと、せい”こうだ」なんて使いやすそう!

 最初はワケもわからず喋っているかもしれませんが、子どもはまず言葉の響きから入って意味を知っていくもの。「“せいこう”って何?」と言葉の意味を聞かれたら、親の出番です。そうしたやりとりから、子どもの国語力はどんどん伸びていきそう。作者の風木一人さんもまた、幼い頃のお母さんとのしりとりで言葉遊びや同音異義語が好きになり、言葉を好きになっていったといいます。

■うちの子もダジャレデビューで人気者に!?

 本書を読んで、ダジャレとは自由な言葉遊びなのだ、と気づかされました。言葉から連想してダジャレがひらめいたときの嬉しさといったら! 思いついたら嬉しいから誰かに言いたくなって、たとえイタタな仕上がりだとしても人の心をあっためてくれるのがダジャレの良さ。うちの子も、いずれはダジャレデビューして人気者になれるかも!?

 本書の帯では、春風亭昇太さんが「この本、ホンとに楽しい。ああっ日本は平和だなぁ~。」とコメントを寄せています。ダジャレのある日常は温かいし、ダジャレとは心の豊かさの表れかもしれません。本書をきっかけにユーモアや言葉のセンスを磨いて、同時に家族の笑顔がもっと増えていったら素敵ですね。

文=吉田有希

●人気絵本サイト「絵本ナビ」にて“全ページためしよみ”ができます!※1回のみ。メンバー登録要。
http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=124864

●文芸情報サイト「カドブン」にて刊行記念インタビュー公開中
https://kadobun.jp/feature/interview/59d7ylgzv9s8.html

●書誌情報
『だじゃれものがたり タンチョウヅルのたんじょうび』
作:風木 一人
絵:田中ひろみ
定価:本体1,000円(+税)
商品形態:B5変形/ 28ページ
ISBN:9784041077474
https://www.kadokawa.co.jp/product/321809000139/