バリキャリOLの赤面ギャップが可愛すぎる…! 恋愛レベル小5の大人たちの勘違いだらけの恋模様

マンガ

更新日:2019/12/20

『高嶺のハナさん』(ムラタコウジ/日本文芸社)

 好きな人を前にすると、素直になれず、そっけない態度をとってしまう…。誰しもこのような体験をしたことがあるはずだ。好きな気持ちを相手に悟られるのが怖かったり、ついつい他人の目を気にしてしまったり。心の中では愛情が爆発しそうなのに、思いを素直に伝えることができない。恋というのは何とも困難なものである。

 ムラタコウジさんのマンガ『高嶺のハナさん』(日本文芸社)は、そんな素直になれないOLの可愛らしい内面が存分に描かれたラブコメディだ。

 主人公の高嶺華(27)は、創業100年の伝統ある一流お菓子メーカー「ミツバチ製菓」に勤めている。彼女は商品企画部のスーパーエースで、企画した商品全て大ヒットの超やり手バリキャリOL。容姿端麗で、仕事も完璧な彼女は、周りから“タカネノハナ”だと評されていた。しかし、そんな華の唯一の弱点は、後輩のポンコツダメ社員・弱木強(よわきつよし)(24)に恋をしていること…! 華は、弱木の前では、厳しいダメ出しを繰り返すが、仕事を終え、家へ帰ると一転、

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また……弱木くんにキツイこと言っちゃった……ッ!!
弱木きゅん…… ほんとはこんなに大好き<ラブゥ~~~~>なのにぃぃッ!!!

と、頭を抱え、胸を激しく高鳴らせ、涙を流しながら、後悔しているのである。

 華が恋する弱木は、真面目だが、仕事ができず、優柔不断。新商品の企画書は「とんこつチョコミント」「たばこグミ」「うんちグミ」など、目を疑うものを提出。親からは未だにお年玉を貰っている。だが華は、そんな弱木のダメなところこそが大好きで、彼に好かれるため、キツイ女ではなく、おしとやかで可愛らしい女の子になりたいと思っていた。また、実は弱木も、華の強くて格好いいところが大好きで、できる男になろうと密かに努力していたのである――。

 本書は、両想いのふたりの何とも歯がゆい“すれ違い”が、実にコミカルに描かれている。華は、職場ではスーツでビシッと決めているのに、自宅では猫の着ぐるみを着てモテ本を読み、弱木に好かれようと奮闘する。弱木は、華を将来の嫁にしようと企むプレイボーイのチャラ田(25)が、華をデートに連れ出したのを見て妨害しようとするが、華は、弱木が別の女性に恋していると勘違いして、彼の本心に一向に気づかない。お互いありのままの姿で、十分相手に愛されているのに、勘違いが繰り返され、事態があらぬ方向へ進展していく様子は、非常にもどかしいのだが、ピュアすぎる恋愛模様に、心に爽やかな風が吹き抜けたのも事実である。

 読者だけが知っている登場人物の心の声や激しいギャップには何度も吹き出してしまった。艶やかで色っぽい絵柄とは裏腹に、恋愛レベル小5な不器用な大人たちが愛しくてたまらないマンガである。最高のギャップ萌えをぜひ堪能してみてほしい。

文=さゆ