「話し方」ひとつで人生は変わる! 禅僧・良寛に教わる今日から魅力的になれるコツ

暮らし

公開日:2019/11/18

『一日一戒 良寛さん 清々しい人になる90の教え』(枡野俊明/自由国民社)

 人の印象は見た目から始まるというが、いくら好感のある見た目を心がけていても話し方がガッカリされるようなものなら意味がない。“話し方”というのは見た目以上の印象を作り出すものではないだろうか。

『一日一戒 良寛さん 清々しい人になる90の教え』(枡野俊明/自由国民社)は、そんな“話し方”に着目した1冊だ。本書で取り上げられるのは江戸時代の禅僧・良寛。良寛は日々の暮らしのなかで気づいた“話し方”についての戒めを紙に書いて、家の鴨居などに貼っていたという。そんな良寛に学ぶ“話し方”は、人に良い印象を与えて魅力がアップするだけでなく、自分の心までも清々しくさせるものだ。

 本書に登場する良寛の90の“戒め”には以下のようなものがある。

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「よく心得ぬことを人に教える」──知ったかぶりをしてはいけません

 自分が知っていることはべらべら喋りたくなるものだ。けれど、付け焼き刃な部分を人に突っ込まれるとしどろもどろになり、それでも“詳しい人”を演じるために適当な意見を言ってしまうこともあるだろう。知ったかぶりをしていると恥をかくし、信用を得られない。知らないことは素直に知らないと言える誠実な人間でいよう。

「へつらうこと」──人に気に入られるように話すことはありません

 好かれようとして人の意見に同調したかと思えば、今度は違う人の意見に同調する──そんな人が周りにいないだろうか。そうやって自分ではない自分を何人も演じることについて、本書は「これは疲れると思いますし、どんどん本来の自分を見失っていくことにもなるのではないでしょうか」と指摘する。自分の心を殺す“話し方”をしていないか意識することは重要だろう。

 以上のような項目は、自分に“嘘”をつくような喋り方だろう。自分の立場を気にして心を曲げるのは、他人からは浅い人間だと見られたり、自分も本心とのギャップにストレスを感じたりしてしまう。本書ではそんな自分を見つめて、自分も他人も心地よくなるような“話し方”の例がたくさん取り上げられている。

 本稿を書いている筆者(私)も、この機に良寛の教えを実践してみたのだが、普段いかに自分が知ったかぶりをしたり、人にへつらって話したりしているかに気づいた。ダメな話し方をしているときの自分の心は焦っていたりクサクサしていたり、何かを抑え込んでいるような感じであった。率直に意見を話しているときとはずいぶん違う感覚である。良寛の教え通りの“清々しい人間”にはまだ到底なれないが、自分の話し方を振り返る貴重な体験であった。

 本書は「一日一戒」とし、朝にどこかのページを開いてそこにある「戒」を実践していく読み方を推奨している。著者によると、良寛から教わる「清々しさ」は、ひとつひとつ身につけていくものだという。“話し方”をひとつひとつ整えていくことで、他人への印象を良くするだけではなく自分も穏やかな気持ちをもって毎日をおくれるようになるだろう。

文=ジョセート