部屋から出ずに健康になる!? カレー沢薫による爆笑必至の健康法コラム!

文芸・カルチャー

公開日:2019/11/2

『部屋から出ないで100年生きる健康法』(カレー沢薫/秋田書店)

 健康を気にして、スポーツジムに申し込んだけど、会費だけ払って続かない…。ならばお手軽にウォーキングをしようと、おしゃれなウェアまで購入したが、こちらもまた三日坊主…。あなたはこんな経験をしたことはないだろうか? 加齢と共に体力の低下をひしひしと感じ、何とかしようと思うものの、面倒臭さや飽きっぽさなど、元来の性格がここぞとばかりに威力を発揮し、お手上げ状態に陥っているのは、筆者だけではないと信じたい。

 そんな方々にぜひ読んで頂きたいコラム集がある。24時間中48時間Twitterをしており、負け組の立場から執筆したコラムが読者の胸を打つことで有名な、カレー沢薫さんの『部屋から出ないで100年生きる健康法』(秋田書店)だ。本書はできるだけ「家から出ずに健康になる」ことをテーマにした新時代の健康コラム集。コラムの趣旨は「色んな健康法を試して健康になろう」ということだが、著者に「継続力がない」という理由のため、毎回新しい健康法に飛びつき続ける様子が綴られている。

 本コラムは、青年誌『ヤングチャンピオン』で連載されているためか、序盤から、編集長が「おセックス様最強説」を唱えているかと思えば、ふいに「モーツァルトを聴く」ことで自律神経が整うらしいことが明かされるなど、紹介される健康法はバラエティに富んでいる。中でも個人的に印象に残ったのは、本コラム連載中に会社員を辞め、日中家にひとりきりの著者がここぞとばかりに挑戦した「全裸健康法」である。

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 この健康法は、文字通り全裸になるだけという簡単なもの。著者は全裸でコラムを書き、解放感や、自分の肉を否応にも意識するため、気づきや意識の変化があることを認める。だが、

ただ意識の低い裸族になると、体中の肉が(服という抑止力を失うことにより)さらに垂れ、家中に自分の汗と脂、他体液を撒きちらし、陰毛ロードを築いてしまうことになる。

という大切な忠告も記されていたため、「無料で今すぐ始められる…!」とウキウキしていた意識の低い筆者を、一瞬で真顔にさせた。

 また本書は、ジムに行って踊ったりなどしてみたいが、インストラクターとコミュニケーションすることを考えると気が重くなる著者の葛藤や、多くの健康法・美容法が「コレさえやればOK」と謳いながら、その方法をする下準備として「軽いストレッチ」をねじ込んでくる矛盾なども記されている。

 外より家・コミュニケーションより孤独を愛し、頑張りたくはないが、日々健康であることを願う読者は、激しく共感、そして爆笑してしまうコラムばかりだろう。少なくとも、本書を読むと心の健康度が著しく上昇することは間違いない。外で太陽の光を浴びることが苦手でも、肩の力を抜いて、部屋の中でのんびりと本書を読むことから健康を考えてみるのも良いかもしれない。

文=さゆ