あなたの話が通じない原因は? 「まわりくどい」とバカにされないコツ

ビジネス

2019/11/7

『20字に削ぎ落とせ ワンビッグメッセージで相手を動かす』(リップシャッツ信元夏代/朝日新聞出版)

 人に何かを伝えるとき、「伝えたい!」という想いをそのままぶつけていないだろうか? でもそうすると、ついつい情報を盛り込みすぎてしまいがち。例えば、自分の見た映画の話を友達にするとき、描写を細かく説明している途中で、「結局何が言いたいの?」と問い返されてしまう…ということもあるかもしれない。

 そんなときにおすすめしたいのが、『20字に削ぎ落とせ ワンビッグメッセージで相手を動かす』(リップシャッツ信元夏代/朝日新聞出版)。本書は、タイトルの通り「人間は、だいたい15字から20字程度のフレーズが覚えやすい」と説く。本稿では、この本で紹介されているプレゼンやスピーチにも活用できる“伝え方の秘訣”をいくつか紹介したい。

■誰もが知ってる、あのキャッチコピーの秘密とは?

「一度食べだすと止まらなくなる…」系のえびせんのキャッチコピーは誰もが一度は聞いたことがあるはず。あのキャッチコピーも、実は20字以内のメッセージだ。

 開発者の意気込みを考えれば、もっとエビの種類や栄養価、調理法など、こだわった部分を盛り込んで宣伝したかったかもしれない。だが、あえてそれらを削ぎ落し、食べる手が止まらないほどの“おいしさ”だけを伝えた。そうすることで、“本質”を人に届けることができたのだ。

 確かに、数十秒の時間しかないCMなのに、あのフレーズは耳に残る。今でも口ずさめるのは、メッセージを短くまとめたこともひとつの大きな要因だろう。

■“正しさ”を振りかざすな!

 正しい情報を相手に伝える。相手が間違っていれば、それを正す。一見、あるべき姿のように思えるが、人間は「正しさ」だけで納得することはできないし、受け入れられないものだという。正論だけを通そうとしても、「おまえ何様?」と反発されてしまうこともあるかもしれない。

 そうならないためには、「相手の心に寄り添うこと」が一番だ。相手に対して指摘するときも、相手が言って欲しい言葉を想像し、それらを交えて、相手の表情を見たり、想像したりしながらメッセージを伝えてみたい。

■話し手は、“黒子”に徹する!

 相手に何かを伝えるとき、自分目線で発信していないだろうか。残念ながら、それでは一人よがりになってしまいがちだ。ここで覚えておきたいのは「聞き手が主役」という視点。話し手は、大切なメッセージに導く“ガイド役”であることを意識するのが大切だと本書は語る。そうすると、話を聞く人はあなたの話を「他人事」ではなく、「自分事」として感じるそう。

 例えば、「私の勉強法のコツを教えます」というセリフ。これだと、「あぁ、アナタがコツを教えてくれるのね」と受け取り、主語は“他人”だ。でも、「皆さんに、勉強法のコツをお持ち帰りいただきます」と言い換えると、「今日は私が勉強のコツを覚えて、使えるようになるんだ」と、主語が“自分”になる。こうしたちょっとした言い換えだけで、興味を持って聞いてみようという気持ちに誘導できるという。

■あの店員、実は超手練れ!?

 ウィンドウショッピングを楽しんでいたら、ふいに掛けられた店員さんの言葉で、つい買ってしまった――そんなことないだろうか。

 もしかしたらその店員さんの言葉は、人の心を動かす「3要素」が含まれた理にかなったセールストークだったのかもしれない。ちなみに、その3要素とは、「信頼」「感情」「論理」だ。

 本書曰く、この3つが揃うと「頭と心」を動かされてしまうという。例えば、とても便利な商品が発売されたとき、新しい機能を説明されると「論理」的に良いものだと判断でき、名の通ったブランドの製品であれば「信頼」がおける。そして「これがあれば生活が一変しますよ」の一言で、自分の生活がより良くなった未来を想像して、「うん、いいかも」と「感情」が動かされ、購入へと気持ちがなびくのだ。

 確かに、私も買いものに行った際に、ある程度買いたいものを決めていたはずなのに、店員の最後の一押しで最終的に決めてしまうことがよくある。「いい買いものができたな」なんて満足していたが、あれは手練れの店員の理にかなったセールストークの衝動だったのかもしれない…。

 本書ではこれ以外にもたくさんの秘訣が紹介されている。プレゼンやスピーチで活用できるビジネス向けのものがメインだが、どれも日々の会話の中で使えるはずだ。上手に使えば、相手のことを思い通り動かせる! かもしれない。くれぐれも悪用にはご注意を。

文=冴島友貴