あなたが相談するファイナンシャルプランナーは本当に信用できる? 正しくお金を増やす方法はコレ!

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公開日:2019/11/8

『マンガでわかる シンプルで正しいお金の増やし方』(山崎元:著、飛永宏之:漫画・漫画原作/講談社)

 今後は日本の経済成長が見込めず、賃金の伸び悩みが確実視されている。さらに社会保障費の負担は膨らむ一方で、私たちの老後がどうにも不安だ。

 そのため資産を獲得する方法を模索したいところだが、脱税まがいの行為や怪しげな金融商品に手を出すのは、明らかな間違い。少しの間は上手くいっても、メディアで報道されているように結局大損をしてしまう。お金を得たいならば、正しい方法で増やしていきたい。

『マンガでわかる シンプルで正しいお金の増やし方』(山崎元:著、飛永宏之:漫画・漫画原作/講談社)は、経済評論家の山崎元さんによる超シンプルで分かりやすいお金の話だ。ローリターンだがローリスクの投資話はもちろん、世の中にはびこる「悪人」から大事な資産を守る方法を伝授する。

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 本書は主に漫画形式でお金の話を説明し、補足として必要な情報を文章で解説するので、難しい話が苦手な人でも確実に理解できる。その一部をご紹介するので、将来に向けてお金を増やしたい人はぜひ参考にしてほしい。

■一部のFPは知識不足の状態でアドバイスをおくる

 老後資金2000万円問題をはじめとする不吉な報道の連続で、将来への不安が膨らむ一方だ。だからこそ気になるのが、「我が家の家計はいつまで大丈夫なのか?」。それを確かめるために「ファイナンシャルプランナー(以下、FP)」と呼ばれるお金のプロへ相談に行く人が多数いるようだが、ちょっと待ってほしい。本書で山崎さんが衝撃的な事実を解説しているのだ。

 FPは立派な「お金のプロ」であることは間違いない。しかし投資や生命保険などの金融商品の知識は、専門職である銀行マンや保険会社の社員に劣る場合が多い。不動産関連も同様だ。さらに税金は毎年といっていいほど何かしら法律や制度が変わる。

 つまり一部のFPは、知識不足の状態で私たちにアドバイスするケースがある、と山崎さんは指摘しているのだ。それでもメディアがFPを重宝するのは、ビジネス上の利害を避けて、業務上の秘密を守りたい金融機関からコメントが得られないので、その代役としてFPから“記事にしやすいコメントを引き出したい”ため。

■一部のFPがひっそりと行う悪行

 さらに恐ろしいのは、一部のFPが収入に困り、生命保険や投資信託を販売して、その手数料を受け取るケースがあること。たとえばある生命保険会社と代理店契約を結んだFP事務所があったとする。そのFPが顧客に生命保険を販売すると、生命保険会社から報酬が振り込まれる。この額は、FPの相談料の何倍にもなることが多い。結果、収入を欲する一部のFPが、顧客にマッチしない金融商品をオススメしてしまうケースがあるのだ。

 また金融機関の主催するセミナーでFPが講演する場合も、割の良い謝礼が振り込まれることがある。そのためFPはその金融機関が扱う商品を「好意的に」解説することがあり、それに乗せられた人々がホイホイと買わなくてもよい金融商品を買ってしまうケースも見られる。

 私たちは老後を安心して迎えたいからFPに相談するのに、これではアリ地獄に引き寄せられるアリ同然だ。もしこれが事実ならば、一部のFPはちょっとした「悪人」に違いない。「お金を増やしたいならFPに相談するな!」と断言する山崎さんの言葉が、頭の中でクラクラと反響する。読者はぜひ本書を読んで、知られざるFPの実態を目にしてほしい。

■お金を増やしたいなら銀行員と顔を会わせるな!

 そこで気になるのが、自身の資産を守り、それを確実に増やしていく方法だ。本書はFPの実態以外にも、「投資でお金を増やす方法」や「悪人から資産を守る方法」をたっぷりと解説している。ここから先は本書の内容をハイライト的にざっとご紹介していこう。

 まず山崎さんが声を大にして訴えるのが、「銀行で販売される金融商品は手を出すな」ということ。理由は簡単。手数料が圧倒的に高いからだ。本書に「銀行員とはなるべく顔を会わせるな」というアドバイスを記すほど、読者に警鐘を鳴らしている。

 それでは投資の初心者は、どんな方法でお金を増やせばいいのか。山崎さんは、楽天証券・マネックス・SBIなどのネット証券で口座を開き、インデックス・ファンドと呼ばれる投資信託で運用することをオススメする。ネット証券ならば手数料が安く、分散投資のように手堅く運用できるからだ。

 投資する資産は、外国株式のインデックス・ファンドと国内株式のインデックス・ファンドを、おおむね6:4に分配して運用しよう。この方法ならば、一度投資をしたあとは何もすることなく“ほったらかし状態”でお金に働いてもらえる。ここで絶対に頭に入れてほしいのは、投資は元本が保証されていないので必ずリスクが存在すること。それを踏まえたうえで投資するかどうか決断してほしい。

「元本割れなんて絶対に嫌!」という人は、「個人向け国債変動金利型10年満期」を選択しよう。国が毎月発行しており、購入は1万円からできる。元本割れなしで、年率0.05%の最低金利が保証されているのがうれしい。山崎さんいわく「銀行の預金より安全」なので、限りないローリスクを渇望する人はこれを検討してみよう。

 最後に押さえておきたいのが、どれだけのお金を投資に回すかだ。それぞれの経済状況や家庭の事情があるので一概にいえないが、山崎さんは生活防衛資金として「生活費の3カ月分」を銀行口座に入れておき、残りのお金をインデックス・ファンドや国債で運用することを提案する。投資は手持ちのお金すべてをつぎこむのではなく、生活余裕資金で挑むのが健全だ。

 日本人はこれまで「お金に働いてもらうこと」をあまり理解しようとしてこなかった。しかし日本の先行きが怪しくなった現在、政府が無責任に投資を喧伝している。するとそれに便乗するように、投資の知識を持たない人々からお金をかすめ取る「悪人」があちこちに現れている。

 自分の資産を守って増やすには、お金に対する正しい知識が必要だ。本書はその一助になるだろうし、少なくとも読者が脱税や怪しい金融商品に手を染めないことを心から願っている。

文=いのうえゆきひろ