なぜ梅毒患者が急増? 「気持ちいいから」でコンドームを着けなかったカップルは…

健康・美容

2019/11/9

『誰も教えてくれない性病対策ハンドブック』(マニアックラブ研究会:編著、水城稜:監修/三和出版)

 コンドームの製造販売で有名なオカモト株式会社が2015年に行った調査によれば、コンドームの使用について、
「絶対に着ける」36.7%
「時と場合によっては着けるかもしれない」34.0%
「着けない」29.3%
だったそうだ。

 着けない理由で最も多かったのは、自分や相手が感じやすくなるからだというが、そこには性病に対する危機意識が欠けていることが読み取れる。教育現場での性病についての周知が遅れている日本では、自分から知ろうとしなければなかなか教えられる機会がない。だから、自分がそもそも何を知らないかを知り得ようもないというのが実情だろう。などと偉そうにいう私も、人に説教できるほど詳しいわけではないので、『誰も教えてくれない性病対策ハンドブック』(マニアックラブ研究会:編著、水城稜:監修/三和出版)に教えを請うことにしたい。

 本書は、自分の体の異変に気づきながらも「ま、いっか」とセックスしようとするカップルに対して、通りすがりの変態女医が性病について教えるストーリー漫画と、専門的な解説ページという構成になっている。

■梅毒患者が再び急増中! その恐ろしい症状は?

 性病とは、「性行為(性的な行為も含む)によって感染する感染症の総称」だが、現在では「性行為によって感染するリスクのある病気全般」を指すそうだ。これが何を意味するのかというと、多くの人が名前くらいは知っているであろう「梅毒」「クラミジア感染症」だけではなく、「B型肝炎」や胃がんの原因になる「ヘリコバクター・ピロリ菌」なども大枠の性病に含まれるということで、セックスしていなくてもキスや性器を舐める行為などで性病になることも指摘されている。

 代表的な性病である梅毒は2011年から患者が急増している。また、日本に精神科の病院が作られるようになったキッカケは明治期における梅毒の流行によるという。現在では治療法が確立されているが、梅毒が脳や脊髄などにも辿りついてしまうと、精神症状、認知症のような症状を起こすことから、昔は「神経梅毒」と呼ばれていたのだとか。

 本書を監修した医師は神経梅毒の患者を診たことはないそうだが、「私が神経梅毒を診る日も、ひょっとしたらそう遠くないことなのかもしれません」と述べており、早い段階で治療をしないと、後遺症が残ってしまう危険性は依然としてある。

■性病検査で気をつけるべきことは?

 また性病で気をつけなければならないのは、病原体の種類によって発症の仕方が男女で異なる点だ。クラミジア感染症は、男性なら尿道の炎症で気づくことがあるのに対して、女性の場合はおりものの増加以外に気づきにくい。しかし、治療せずに放置しているとどんどん進行して、男性は「前立腺炎」「副睾丸炎」などを、女性は「子宮頸管炎」「子宮内膜炎」を発症し不妊の原因にもなってしまう。

 性病の検査方法は、一般的には「保健所での検査」「病院での検査」「検査キットを使う自宅検査」の3つがある。保健所検査での利点は「無料・匿名で検査を受けられる」ことで、欠点は病院に比べると検査項目が少ないこと。そのため、どんな検査を受けたいのかによって検討するのが良いだろう。

 さらに、本書でくり返し提言されていることだが、パートナーがいるのであれば一緒に受けるのが望ましい。というのも、性病のよくある誤解とトラブルとして、「どちらが病気をうつしたか」「相手が浮気して感染したのでは」と責め合い、別れてしまうケースがあるからだ。生まれたときからウイルスや菌を持っていたり、そもそも世界の50歳未満の人間の半数程度が感染していると推測されているウイルスもあったりするため、言い争いが無駄な場合も多い。それよりも、自身の感染を調べるとともに、もしパートナーが感染していると分かったときには心のケアに努めるようにしたい。

 最後に再び強調するならば、性病対策におけるコンドームの重要性は非常に高い。カリスマAV男優しみけんは、本書でのインタビューでこんな言葉を読者に送っている。

「高級車に乗る男より自分からコンドームをする男のほうが絶対にカッコいい!」

文=清水銀嶺