令和を生きるタラレバ娘が登場! 30歳・独身・フリーターの令菜が抱く夢は――!?

マンガ

公開日:2019/11/10

『東京タラレバ娘 シーズン2』(東村アキコ/講談社)

 アラサー女性の恋愛と葛藤を描き、多くの女性読者の共感を呼び話題となった東村アキコ先生の『東京タラレバ娘』(講談社)。実写ドラマ化もされ、今年の3月には番外編『東京タラレバ娘 リターンズ』も発売された。そんな大人気の“タラレバ”シリーズだが、先日、令和を生きる“タラレバ娘”を描いた新シリーズ『東京タラレバ娘 シーズン2』(講談社)が発売されたことをご存じだろうか?

 本書の主人公は、廣田令菜・ぎりぎり昭和生まれの30歳。独身で彼氏もおらず、職業は小さな区立図書館で司書のアルバイトを始めたばかりのフリーター。東京出身の実家住まいで、短大を卒業後、派遣の仕事を渡り歩いているが、別に不幸だとも思っていない。28歳頃から彼氏どころか好きな人もできないが、ネットで評判のコンビニ神スイーツを買い、帰宅後はソファーに寝転がってネットフリックスを観て、そのまま寝落ちすることに幸せを感じていた。

 そんなある日、令菜の元に通っていた小学校から「タイムカプセル掘り起こし同窓会」のお知らせのハガキが届く。夢を書いて卒業式の日に埋めた記憶があるものの、令菜はそこに何を書いたかさっぱり思い出せず、ショック状態に陥ってしまう。そんな折、令菜の職場の先輩で、まごうことなき昭和の女・40歳独身の昭子に飲みに誘われる。おかっぱ頭で丸眼鏡、真面目そうな風貌の昭子だが、連れて行かれたのはなんと、従業員全員「よしお」を名乗るイケメン揃いのボーイズバー。

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 昭子の行きつけらしいボーイズバーのオーナー兼店長はひときわ異彩を放っており、令菜へ出会って開口一番、「君の夢は何ですか?」と問うてくる。それも、「仕事」や「職業」の話ではなく、例えば、「軽井沢に住んで毎朝焼き立てのパンと手作りジャムで朝ごはんを食べること」といったような、人生単位で叶えたい夢を聞きたがるのだ…! いつの間にか30歳になり、年号も令和に。夢や人生の目標を何も持たずに生きてきたことに落ち込んだ令菜だが、年号と共に変わろうと、夢を探して奮闘するのだが――!?

 本書は、結婚や恋愛で悩み、問題があるとすぐに女子会を繰り返していた“タラレバ3人娘”の物語と比べると、非常に落ち着いた展開で、読了後、ほとんど欲のない現代アラサー女子の生態に非常に驚いてしまった。結婚願望もさほどなく、身近にあるもので十分に幸せを享受する…。そんな令菜が、小学校の頃の夢を叶えようと決意する様子は、応援したい気持ちと共に、自身もドキリとさせられた。「夢」といえば「仕事」のことだと思い込み、「それ以外」で考えてみても、まったく何も思い浮かばなかったからである。

 令菜やアラフォーの昭子さんは、新時代である令和をどのように駆け抜けるのか。可愛らしい外見だが毒舌で的確なアドバイスをおくるタラとレバにも期待しつつ、今後の展開を楽しみに待ちたいと思う。

文=さゆ