【累計10万部突破】猫を愛し、猫に振り回され続けるすべての人に読んでほしい“通い猫物語”最新刊!

文芸・カルチャー

2019/11/20

『通い猫アルフィーの約束』(レイチェル・ウェルズ:著、中西和美:訳/ハーパーコリンズ・ジャパン)

「猫科の一番小さな動物、つまり猫は最高傑作である」。かのレオナルド・ダ・ヴィンチは、そんな言葉を残したというが、その言葉に疑いの余地はないだろう。モフモフとした毛並み。自由気ままに動く長い尻尾。ザラザラとした舌。モチモチとした肉球…。猫は、人間をたぶらかすすべを知っているに違いない。だが、猫のあのツンデレな態度と向き合っていると、私たちはいつだって片思いであるような気がしてしまう。猫は何を考えているのだろうか。少しでも私たちのことを思ってくれていたら、これ以上の幸せはないのだが…。

 猫を愛し、猫に振り回され続けるすべての人に読んでほしい物語がある。それは、累計発行部数10万部を突破した大人気シリーズ「通い猫アルフィー」シリーズ。灰色猫・アルフィーが複数の家を行き来する「通い猫」として周囲の人々を幸せにするこの物語は、猫好きを中心に大きな話題を呼んでいる。アルフィーの巻き起こす奇跡に、時にクスっと笑わせられたり、時にうるっと泣かされたり…。シリーズ第5作である最新刊『通い猫アルフィーの約束』(レイチェル・ウェルズ:著、中西和美:訳/ハーパーコリンズ・ジャパン)からも目が離せない。

 老婦人の飼い主をなくし、帰る家を失ったアルフィーは、さまよった末にたどり着いたエドガー・ロードで「通い猫」として生きることを決意。複数の家に通いながら、人間たちの悩みを次々と解決に導いてきた(第1巻)。はじめて恋をし(第2巻)、初恋相手との辛い別れを経験したが、薄茶と黒の縞の子猫・ジョージのことを、出会ったときからの親友でいまはガールフレンドになったタイガーとともに、今では、実の息子のように可愛がりながら暮らしている(第3巻)。夏には通い先の家族みんなで別荘に滞在(第4巻)。「通い猫」としての暮らしを満喫中だ。

 続く最新刊では、エドガー・ロードに、日本から新しい住人・シルビーとコニー親子が引っ越してくる。しかも、その家にはイギリスでは珍しい毛並みの三毛猫がいるらしい。名前はハナ。はじめての異国の友達にアルフィーもジョージもワクワクが止まらないが、ハナは一向に家から出てこない。それにその家の住人たちにも元気がないように見えるのだ。

 ハナの飼い主は、離婚を機にイギリスに帰国したばかり。気持ちがどんよりするのも当然。母のシルビーは悲しみから立ち直れず、日本での暮らしを恋しく思わずにはいられないでいる。娘のコニーも、日本の友達と別れたせいで寂しそうだし、何より思春期で難しい年頃だ。母は娘を、娘は母を気遣っているはずなのに、気持ちは次第にすれ違い始め…。アルフィーは彼女らの問題とどう立ち向かおうとするのだろうか。

 アルフィーのあたたかい視線で進んでいく物語を読んでいると、アルフィーを取り巻く人間たちが羨ましくなる。私も猫からこんなに愛されたい! そう思わずにはいられないのだ。いや、あなたの家の子も、実は、あなたのことをアルフィーのように気にかけているのかもしれない。このシリーズを読んでいると、そんな期待が胸に浮かんでやまなくなる。

 特に最新刊では、アルフィーの優しさに胸打たれる。アルフィーは自身も大きな悩みを抱えることになるのだ。しかし、どんなにつらく、悲しくても、アルフィーは、常に周りのことを考えようとする。その姿がなんと健気なことだろう。

 猫にも、忘れたくない誰かがいる。アルフィーを待ち受ける展開とは…? この物語は、猫好き必読。猫の、涙と笑いの物語は、あなたの心もそっと優しくあたためてくれるだろう。

文=アサトーミナミ