過剰な紫外線対策による体内のビタミンD不足が、がんの死亡率をあげていた!?

健康・美容

2019/11/22

『病気が逃げていく! 紫外線のすごい力』(南雲吉則/主婦の友社)

紫外線は本当に悪者なのか?

「紫外線は、私たちの健康を維持するために欠かせない太陽の恵み。今すぐ過剰な紫外線対策をやめましょう」と言うのは、「60代なのに、40代にしか見えない、日本一の若返りドクター」としてTVでも有名な、ナグモクリニック総院長の南雲吉則氏。

 新刊『病気が逃げていく! 紫外線のすごい力』(主婦の友社)で従来の紫外線に対する常識を覆す提唱をしている。南雲氏は、乳がんの専門医としてこれまで、「1日1食」「命の食事」など、がんや糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防・改善、若返りのための食生活について、科学的根拠に基づいて提唱し、自らも実践してきた。そして現在、最も南雲氏がすすめる健康法&がんの予防法が、このお金がかからない「紫外線の力」なのだ。

朝のウオーキングでたっぷり紫外線を浴びて体内のビタミンDを増やす

1日10分の紫外線生活で体が変わる!

 南雲氏が紫外線のパワーを実感したのは、自身が長年悩まされてきた背中の慢性皮膚炎を、タンニング(日やけ)マシンで全身日やけをすることで完治させたことだった。そのことがきっかけとなり「なぜ、紫外線は忌み嫌われてきたのか」を調べ始めたという。

 紫外線を浴びると、「顔にシミができる」「皮膚がんになる」「体内に活性酸素が増えて老化を促進する」など、紫外線は悪者というのが常識として広まっている。これらの「紫外線=悪者」説がいわれだしたのは、1982年に南極直上で有害な紫外線の侵入を防いでいるオゾン層が著しく減少していること(オゾンホール)が発見されてからだという。

 そのことをきっかけに、世界中で「紫外線予防キャンペーン」が盛んになる。特に日本では、過剰なまでの「美白」がブームになっていった。最近は、女性だけでなく、紫外線の強い時期には男性も日傘をさすなどの紫外線対策をしたほうがよいといわれだすほどだ。

数年前までは、南雲氏も外出時に徹底した紫外線対策をしていた。

 本書では、過度な紫外線対策が、がんや生活習慣病、アレルギー疾患、うつ病などの原因となっていると警鐘を鳴らすとともに、科学的根拠や自らの体験をもとに紫外線の有用性が示されている。

「シミ」と「皮膚がん」の犯人は紫外線ではない!

「紫外線を浴びると顔にシミができる」は、疑いようのない常識とされているのではないだろうか?

 しかし、南雲氏は、「紫外線をいちばんあびる額や鼻の頭にシミ(肝斑)ができず、頬、目尻とこめかみの間にできるのはなぜか」と疑問を呈す。

 実は顔にできるシミの原因は紫外線にあるのではなく、汗落ちしないファンデーションに含まれる「シリコン樹脂」と、それを洗い流す洗顔せっけんに含まれる合成洗剤にあるという。この合成洗剤は食器洗いやそうじ用に使われる洗剤と同じ成分なのである。

 南雲氏は「多くの女性が食器洗い用の洗剤で洗顔しているようなものです。こうした洗顔をすることで、皮膚の表面の角質や皮脂、善玉菌といったバリアが失われて乾燥性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎、細菌性皮膚炎を起こしてしまいます。さらに、こうした洗顔料で顔の皮膚をこすることで起こる擦過性皮膚炎(黒皮症)がシミの正体なのです」と指摘している。

「紫外線は皮膚がんの原因になる」というのも、常識とされているのではないだろうか。多くの皮膚科医は「皮膚がん予防のために、なるべく紫外線を浴びないようにしましょう」という。

 ところが、南雲氏は本書のなかで「日本人に最も多い皮膚がんは基底細胞がんですが、この皮膚がんはほかの臓器に転移することがほとんどなく、命にかかわることはありません。命にかかわる皮膚がんであるメラノーマ(悪性黒色腫)は、日にあたることがない足の裏や足の爪に発生するがんです。つまり、紫外線は命にかかわる皮膚がんとは無関係なのです」と指摘している。

 このように、従来いわれてきた紫外線の害には、科学的根拠が乏しいと南雲氏は指摘し、それどころか、紫外線を浴びることで生まれる健康への効用のほうがはるかに多いと、本書で訴えている。

紫外線を積極的に浴びることで健康になる

 南雲氏によると、紫外線を浴びることには、大きく分けて2つの効用があるという。

「効用の一つは、紫外線の直接作用です。紫外線は、皮膚の表面に侵入した外敵(アレルゲン)によって起こるアトピー性皮膚炎などのアレルギー反応を抑えてくれます。また、間接作用でいちばん大切なのが、紫外線を浴びることで体内にビタミンDがつくられることなのです」。

 近年、世界でも最も権威のある総合学術誌のひとつである『Nature』に、ショッキングな報告が掲載された。その報告によると、「紫外線不足の人は、ビタミンD欠乏症になって、全身の細胞内の遺伝子が正常に働かなくなるために、乳がんや大腸がんなどのがん、アレルギー・自己免疫疾患、うつ病などの精神科疾患、ぜんそくなどの呼吸器疾患、心筋梗塞などの循環器疾患、肝不全などの臓器不全、不妊症、骨粗しょう症などの運動機能障害など、全身にわたる病気を起こしやすくなる」というのだ。

乳がん患者さんの98%がビタミンD不足の衝撃!

 南雲氏の専門である乳がんにも、紫外線不足が関係していた。さらに、数年前に「ビタミンD不足ががん死亡率を上げる」という2つの論文を読んだ南雲氏は、自らのクリニックの乳がん患者さんのビタミンD値を調べたという。

「その結果は驚くべきものでした。なんと、当院の乳がん患者さんの98%がビタミンD不足だったのです。それ以来、過剰な紫外線予防対策による健康への弊害を乳がん患者さんはもちろんのこと、講演など機会あるごとに訴え、もっと紫外線を積極的に浴びることを提唱しています」と、南雲氏は言う。

 本書では、赤ちゃんからシニアまで、紫外線を浴びることが及ぼす健康の効用や、効率よく体内のビタミンDを増やす方法がわかりやすく紹介されている。

 がん、アレルギー、うつ、糖尿病、不妊、認知症などを予防・改善したい人は、過剰な紫外線対策はやめるべき。読めば、今すぐ日光浴したくなる1冊である。