ねずみ年なのに猫も登場!? TVでも話題の消しゴムはんこ年賀状の世界観が自由すぎる

暮らし

更新日:2019/12/3

『決定版 消しゴムはんこ。で年賀状 十二支と猫とえんぎもの』(津久井智子/大和書房)

 年の瀬の足音が聞こえてくる時期。そろそろ忘年会をしようとか、年賀状はどうしようと考え始めている人たちも少なくないと思います。最近では、LINEをはじめスマホで新年の挨拶を送る機会が増えましたが、令和という新しい元号を迎えた今年の締めくくり、時代の節目に、心温まる手作りの年賀状を送ってみるのはいかがでしょうか?

 人気番組「王様のブランチ」でも注目される、消しゴムはんこ。『嵐にしやがれ』などに出演し、嵐のメンバーや松坂桃李、明石家さんま師匠に消しゴムはんこを伝授した津久井智子さんによる『決定版 消しゴムはんこ。で年賀状 十二支と猫とえんぎもの』(大和書房)はタイトルのとおり、身近な道具でセンスの良い年賀状を作るための方法をていねいに教えてくれる1冊です。

■道具選びや準備も楽しい。デザイン選びはもっと楽しい!

 年賀状作りといってもさまざまな方法がありますが、そのひとつとして紹介したいのが、消しゴムはんこ。必要な道具類は、身近な文房具屋さんなどで揃えられるモノばかり。やってみよう! と思ったらすぐにでも始められるのも魅力です。

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ハガキや消しゴムのほか、カッターナイフやシャープペンシルなど身近な道具があればOK

 はんこを作る前から想像が膨らみますが、インク選びも楽しさのひとつ。本書でも著者がおススメするさまざまなインクが紹介されていますが、色合いはもちろん、それぞれの特徴によって仕上がりの風合いも違ってきます。

インクは用途や発色の違いにより種類さまざま

 年賀状作りに必要な道具がていねいに紹介されているので、本を片手に文房具屋さんを巡ってみるのも楽しそう。売り場を眺めてみるだけで、ワクワクするようなアイデアが湧いてきそうです。さて、お気に入りの道具を選んだら、準備は完了。

 次はモチーフ選びです。絵やイラストに自信がないという人でも大丈夫。年賀状にぴったりの297ものデザイン案をそのまま参考にできるのが本書の頼もしいところ。

■297ものデザイン案にはなぜか猫も?

 来年は十二支の始まり「子・ねずみ」ですが、本書には十二支すべてのモチーフが収録されているので、2032年まで(あるいはそれ以降もずっと)使えます。小さいはんこでかわいい干支、大きいはんこで迫力満点な干支、おしゃれな干支、和のわびさびテイストの干支など、デザインもさまざま。

 開運・運気アップが期待できるえんぎものモチーフは、令和最初の年賀状には特に喜ばれるかもしれませんね。なかでも目を引いたのが、とても景気のよさそうな「七福神」の図柄。

 干支との組み合わせで毎年バリエーションが楽しめるものも。

 そして…猫ブームもここまで来たか、という章には思わず笑いがこぼれてしまうはず。猫好きの方は年賀状の季節になる度に「なぜ猫がいないの?」と悔しい思いをしていたかもしれませんが、干支との組み合わせなら堂々と年賀状に登場させることができます!

■彫ってみたら、下手でも味がある!

 さて、道具がそろい、デザインも決まったら、消しゴムはんこを彫ります。このモチーフを彫れるようになれば、ほとんどのテクニックがマスターできるように作られているそうです。

 彫り方は丁寧に説明されているので、悩むよりもまず彫り進めてみるのがよさそう。実際にやってみたところ、思わず時間を忘れて作業に没頭してしまうほど。下手ながら一気に彫り上げてしまいました。その間ほぼ無言――。

 充実した時間のあとついにインクをつけて押してみると、たとえ初心者でも予期した以上の「かわいさ」が紙の上に現われるのは版画ならではの醍醐味! 相手への気持ちを込めて、見えない手間をかけてみるのも消しゴムはんこならではの楽しさだと実感します。

 手作りならではの温かさとインクの風合いがもたらすやさしさに、手に取ると投函する前から何だかほっこりしてしまう消しゴムはんこの年賀状。今年は「あの人にどんな年賀状を出そうかな…」と想像しながら、あなたならではの年賀状を作ってみましょう。

 年賀状は本来、送り合う人同士の無病息災を願うものですが、近年はハガキによる年賀状が減少してきたという報道もあります。でも、本書で紹介されているかわいい版画の作例や作り方を読めば、きっとあなた自身の気持ちを込めた年賀状を送りたくなるはずです。

文=青山悠