父は博打とケンカざんまい、母は別居中。一人で店を切り盛りする元気な少女の物語

更新日:2015/10/9

じゃりン子チエ (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 双葉社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:はるき悦巳 価格:500円

※最新の価格はストアでご確認ください。

涙腺が弱くなってきた私は、悲惨な境遇をそのまま悲惨に描くのではなく、こんなにも力強く前向きに描く本作に、頻繁に目頭が熱くなったりします。『じゃりン子チエ』です。コミックで全巻を揃えていますが、電子化ということで即購入しました。

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1978年から約19年間、コミック雑誌『漫画アクション』で連載されていた人気コミックで、テレビアニメ化、映画化もされていますから、ご存知の人も多いでしょう。

舞台は大阪市西成区の萩之茶屋。「あいりん地区」または旧来の地名「釜ヶ崎」で呼ばれ、日雇い労働者の町として知られる、大阪で有名なドヤ街(寄せ場)です。

主人公・チエちゃん(小学5年生)の悲惨な境遇は、次のとおり。

●父親のテツは働かず、博打とケンカざんまい
●母親は別居中
●親の収入がないので、チエちゃんは家業のホルモン屋をたった一人で経営している
●おまけに、まわりにはロクな大人がいない

「ウチは日本一、不幸な少女や」が口ぐせのチエちゃんですが、前述のような境遇を物ともせず、不満いっぱいながらも超前向きに力強く、毎日を生きています。

ストーリーはというと、特に何かの達成を目指したり、現状を改善するために頑張るといったものではなく、チエちゃんと、テツをはじめロクでもない大人との日常を描いているだけなのですが、読んでいるとどんどん元気が出てきます。

幸福も不幸も、本人の捉え方次第なのだなぁ、とあらためて教えられるようです。

父親のことを「テツー!」と呼び捨てにしたり、大人にタメ口をきく、「アホ」と罵る、「殺すど」と脅すなどしたり、クラスメイトの頭をいつも履いているゲタで殴りつけるなど、小5の女の子離れしたチエちゃんですが、人生に挫折しないのは、なんだかんだでまわりの大人たちが一定の愛情を持ってチエちゃんに接しているからなのかなぁ、と思ったりします。


“いけ好かん”(感じがよくない)客と対等に付き合う、小学5年生のチエちゃん

のれん替えで「チエちゃん」に

チエちゃんが通う西荻小学校に乗り込む、父・テツ

授業参観日なのでした。「よ~~マサルのオバハンやないけ」

テツに隠れて、別居中の母に会うチエちゃん。いつものゲタじゃなく、靴履きなのです (C)はるき悦巳/双葉社