「二日酔いで自己嫌悪」「婚活もダメ」…人生に悩んだら、フランスで話題の超ライトな哲学書をひらこう!

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公開日:2019/11/26

『だったら哲学があるじゃない! カント、ニーチェ、プラトン…etc12人の哲学者に人生相談してみたら』(マリー・ロベルト:著、山本知子:訳/双葉社)

 重たい肩を自分の拳で叩きながら、私が感じているのは、肉体的な疲ればかりではないのだと気づかされた。仕事や恋愛、家族関係に友人関係…どうして日常に悩みは尽きないのだろうか。どれもこれも簡単に解決できない類のものばかり。そんな時は、先人の知恵に頼ってみてはどうだろう。

『だったら哲学があるじゃない! カント、ニーチェ、プラトン…etc12人の哲学者に人生相談してみたら』(マリー・ロベルト:著、山本知子:訳/双葉社)は、12人の哲学者に人生相談ができる、フランスで話題の超ライトな哲学入門書。「哲学」というと、なんだか難しそうに感じるかもしれないが、この本ほど、哲学を身近に感じさせる、手軽な本は他にはないだろう。「こういうときは〇〇に聞こう」という逆引き辞典のような構成になっているから、自分の悩みに対する哲学者の意見をすぐに知ることができる。今まで哲学に触れたことがなかったという人にこそ、おすすめしたい一冊なのだ。

 たとえば、この本にはこんな悩み相談と哲学者からのアドバイスが掲載されている。

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●ひどい二日酔いで自己嫌悪…だったらアリストテレスに相談だ!

 アリストテレスがパーティー好きだったという記録は残っていないが、「自我」と「生き方」については間違いなくエキスパートだ。アリストテレスは、人間の究極の目標は幸福になることだと考えていた。幸せになるためにはどうしたら良いのか。

 アリストテレスは、「徳(アレテー)」を高く保つことが必要だと説く。「徳」というと堅苦しい印象を受けるが、彼にとっての「徳」とは、幸せになるチャンスを自分に与え続けることなのだそうだ。

 大切なのは、何よりも経験。さまざまなものを見たり聞いたり、体で感じたりする経験によって、幸せへと近づくことができるのだ。ときには失敗することがあって当然。失敗もまた幸せになるために必要な一歩なのだ。

 アリストテレスならば、自己嫌悪に苦しむあなたをそんな風になぐさめてくれるに違いない。

●婚活がうまくいかない…そんな時はプラトンに相談しよう!

 プラトンは、人間にとって愛を求める気持ちはとても重要な感情であることを教えてくれる。プラトンによれば、かつて、人間は、4本の腕、4本の脚、2つの性器を持つ球体生物として、完璧な充足感と幸福の中で進化していたという。

 だが、「自分は完璧である」という思いから傲慢になった球体生物は、最高神ゼウスの怒りを買い、真っ二つに切り裂かれてしまった。プラトンの描いた物語は、失われた片方を追い求めてさまよう宿命を背負った人間の姿を描いているのだ。

 私たちは一人ひとり、別の誰かを保管するための半分。完全なものになりたいという気持ちは生まれつき備わっていて、魂の残り半分に出会えるまで、その探求は続く。

 誰かに恋をし、その期待が何度裏切られたとしてもそれは空しいことではない。「もう片方の自分だ」と思えるような相手に出会うために探し続けよう。必ず、あなたの残り魂の残り半分はどこかにあるに違いない。

 その他にも、「老化していくのが怖い」という悩みにはパスカルが答えてくれるし、「運命の人にフラレちゃった…」という悩みには、カントが答えてくれる。こんなにライトに友達に相談する感覚で、哲学者たちの話を聞けるなんて、今までにない感覚だ。哲学は生きるための先人たちの知恵。手軽に哲学に触れられるこの本を読めば、あなたの悩みも解決の糸口が見つかるかもしれない。

文=アサトーミナミ