男子高校生の癒しは、バイト先にやってくる天然OLさん。コンビニで繰り広げられるピュアなすれ違いに読者は胸キュン必至!

マンガ

公開日:2019/12/4

『コンビニで君との5分間。』(一永のぞみ/スクウェア・エニックス)

 リサーチ会社・マイボスコムの調査によると、10代~70代の男女1万3189人の半数以上が週に1度はコンビニエンスストアを利用しているのだそう。また、全体の約13%は週4~5回の利用頻度だというから驚きだ。『コンビニで君との5分間。』(一永のぞみ/スクウェア・エニックス)は、そんな私たちの暮らしに欠かせないコンビニエンスストアで起こる、甘くもどかしいピュアコメディーを描いた作品である。

 本作の主人公・柴崎(しばさき)は、とあるコンビニでアルバイト中の男子高校生だ。彼の密かな癒しは、常連客のOLさんと交わされる短い会話。淡々と業務をこなしながら彼女を目で追う日々が続いていた。ある日、会話の中でOLさんがポツリと呟いた「“たく”……」という言葉に柴崎の心は大パニック。ポーカーフェイスを装いながらも、内心はOLさんのことで満タンになってしまう。OLさんが口にした「たく」が彼女の愛猫「たくあん」のことだともつゆしらず、男子高校生の甘酸っぱい苦悩は続くのだった。

“誰よ たくや?たくみ?たくろう?”
“なんか照れてた気もしたしもしかして彼氏の名前とか?いやびっくりするんだったら元カレとかかなぁ。俺似てるのか?それはちょっと複雑だなぁ。てか………(続く)”

“たく騒動”も過ぎ去った頃、またもや柴崎を悩ませる事件が勃発する。いつも来ていたOLさんがパタリと来なくなってしまったのだ。カレンダーに大きなバツをつけながら、柴崎はもんもんとした日々を送る。

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“今日も来なかった。(中略)いや毎日来る方が珍しいし、俺なんか変な対応したかな”
“いやマジ気にするの変だし、体調崩してたりすんのかな……(続く)”

 ある夜、柴崎がバイトを終えてコンビニを出たとき、店に入ろうとするOLさんとすれ違う。どうやら、OLさんは月末月初の繁忙期のためにコンビニへ来られなかっただけらしい。頬を赤らめて交わされた「こんばんは」の挨拶とともに、柴崎の憂鬱な日々はふんわりと終わりを告げたのだった。

 本作は、純情な男子高校生×天然OLさんの“すれ違い”コメディー。ぬくもりとキュンが詰まったふたりのピュアな気持ちと「ほんの少しの積極性とタイミングの一致があれば、もっと仲良くなれるはずなのに!」と読者がじれったく思う、絶妙なズレが魅力だ。突然発動する柴崎の脳内パニックを楽しみながら、ふたりにとってかけがえのない“5分間”を見守ってほしい。

文=山本杏奈