不敗の格闘技・圓明流はココから始まった!? 人気シリーズ『修羅の刻』最新巻で歴史と格闘技を楽しむ!

マンガ・アニメ

2019/12/6

『修羅の刻』(19)(川原正敏/講談社)

 歴史の影に“不敗の格闘技”圓明流あり…。人気の歴史格闘コミック『修羅の刻』(川原正敏/講談社)の19巻が発売された。

 本能寺の変の後、主人公である不破虎彦が、不敗の武術・圓明流で、西国で無双と誉れ高い立花宗茂(むねしげ)に闘いを挑むストーリーである。

 この『修羅の刻』は、2015年に完結した『修羅の門』の主人公である陸奥九十九の先祖を描く連作シリーズ。『修羅の門』では無手(武器を使わない)で千年不敗を誇る圓明流と、空手やボクシングなどの現代格闘技とのバトルを描いて多くのファンを獲得した。

 そしてこの『修羅の刻』では、代々の圓明流の使い手たちが“実在の武将や剣豪たち”と闘いながら、日本の歴史に圓明流が関わる様を描いている。

 

西国無双の虎の前に現れる圓明流の虎

 立花宗茂は大友家の重臣である。大友氏の重臣・戸次道雪(立花道雪)の娘・誾千代(ぎんちよ)と結婚し養嗣子となる(若き日は統虎(むねとら)を名乗っていたため、本稿では立花統虎と表記)。

 統虎は島津を破った功績などで豊臣秀吉から認められ、鎮西一、九州の逸物(いちもつ=群を抜いて優れているもの)と評された。他にも「西国一の比類なき武芸の達人」「東の本多忠勝と並ぶ東西の無双」などとも称された人物だ。

 本能寺の変の翌年(天正11・1583年)、誾千代は猪を素手で屠る謎の男に出会う。姫武者として男に引けをとらないとされた誾千代は闘いを挑むが、軽くあしらわれてしまう。「立花統虎…まだ聞かぬ名だ。その名が聞こえたらやりに行く」。

 この男こそ、不破虎彦。圓明流を使い、信長に仕えていた(織田信長編は『修羅の刻』11巻〜13巻で描かれている)。

 虎彦は陸奥圓明流を継いだ双子の兄弟、狛彦(こまひこ)に負けた後、父より不破の姓を与えられた。そして「誰にも負けたくない」と兵法者たちへ闘いを挑んでいた。このため、この19巻は「不破圓明流のはじまりの物語」であり「不破圓明流の外伝」なのである。

 天正15(1587)年、秀吉から西国一であると激賞された統虎と、誾千代の前に虎彦が現れた。誾千代との約束通り――。雷が轟く中、西国無双の強者と、無敗の武術・圓明流とが相まみえるが…。

 

歴史の影に圓明流ありという史実

 『修羅の刻』には、シリーズのファンが待ち望んでいた通り、格闘技・バトル好きがしびれる豪快さに魅力がある。個性的なキャラクターが続々出てくるなかで一体“最強”は誰なのか? 無手の圓明流と、刀などの武器を持った武将や剣豪たちとの超絶バトルは、これまで以上に読んでいてワクワクするだろう。

 さらに、ストーリー中で「闘う/闘わない」にかかわらず、教科書でも学んだ歴史上の偉人たちが多数登場することも物語に花を添える。歴史好きならもちろん「おおっ」と唸るだろうし、豊臣秀吉など誰もが知る人物も登場するため、あまり詳しくないという人でもじゅうぶんに楽しめるのだ。

 そして本シリーズの最大の魅力は、虎彦をはじめとした圓明流の使い手たちが実際の歴史に関わったのが“史実”であるということだろう。さらに歴史には、文献を読んでいるだけではわからない隙間やエアポケットのようなものがあり、そこで想像力を働かせるのは自由だ。

 本作の圓明流も史実をスタート地点として描かれている。ぜひ皆さんには本作を読みながら、関連書籍やインターネットで歴史について調べ、この人気漫画を“立体的”に楽しんでほしい。

 作者の川原氏も本シリーズのあとがきでこう語る。
「この物語は史実である。あなたにとっても史実であったなら…嬉しいなあ」

文=古林恭