腕で投げるな、アタマで投げろ!『トクサンTV』の理論的支柱、アニキが語る独自のピッチング理論とは?

スポーツ・科学

2019/12/7

『トクサンTVが教える 超ピッチング講座』(アニキ/KADOKAWA)

 あのイチロー氏が草野球デビューを果たすなど、草野球が今注目を集めている。

 小学校で野球をはじめ、中学、高校と進んでいくのが多くの野球人。そして、一部の人はさらに野球を続け、ごく一部の選手がプロに行く。では、そこに至らないと、野球は終わりなのか、と言えば、そうでもない。各地にはたくさんの草野球チームがあり、手の届く範囲で野球を続けることができる。

 そんな大人たちが楽しむ草野球、そして少年野球まで幅広い世代に向けた野球実用書「トクサンTVが教える」シリーズの第三弾『トクサンTVが教える 超ピッチング講座』(アニキ/KADOKAWA)が発売された。

 第一弾のバッティング編、第二弾の守備編に続いて、第三弾はピッチング編。チャンネル登録者数50万人を突破した「トクサンTV」の理論的支柱、アニキ初の著書だ。ここでその独自の理論の一部を紹介しよう。

投げる?いや、考えるのがピッチング

 ピッチングは腕を振ってボールを投げる。でも、実際は腕の力ではなく、カラダ全体の力で腕を振って投げている。だから、速く、強いボールを投げるには、そのメカニックを知ることが必要。コントロールのよさやキレのいい変化球を投げることだって、やはり力学がある。

 それだけじゃない。実際にバッターと対峙し、これを抑える場面になっても、配球を考え、そのために、バッターのクセや習性、今、何を意識しているかなども考える必要がある。

 そう気づくと、ピッチングにおける、考えることの重要性がわかってくる。そして、それこそがピッチングの最高のおもしろさでもある。

腕の運びは多様性と考える

 下半身がステップをする中、上体では胸の前にあった両手が左右に分かれ、ボールを持った手が腕を振る準備のために上がっていく。このとき、ヒジから上げていくスタイルの投手が日本には多いが、それが絶対であるとは考えなくていい。

 ヒジから上げていくと、ひねりを使え、腕を振るタイミングもとりやすい気もするが、人によっては苦しい姿勢に感じるもの。アニキも昔やっていたが、筋肉が緊張した状態で動くためか、肩に負担を感じたのでやめてしまった。要は腕を鋭く振れればいいわけで、負担を感じる動きはなるべく減らしたい。しんどい動きはしなくていいんじゃないかな?

ボールカウントによって投手と打者の関係は変わる

 バッターというのは、制約さえなければ、打ちたいボールを好きなように強振したい生き物。つまり、それに近いときは自分のスイングをしてくるので、打たれたら飛ぶため厄介。そこで、ピッチャーは自分のスイングをさせないように、それができないカウントに追い込みたい。

 これをざっくりと表にまとめてみた。もちろん、野球の試合は状況次第のことも多いので、あくまで試合が動いていない段階での考え方。フルカウントの場合は、2アウトでランナーがいると、自動スタートを切られるので最悪だが、ランナーがいないと大きな問題にならない。そんな違いも理解しておこう。

いいピッチャーは修正能力が高い

 いつもと同じように腕を振っているつもりでも、高くなったり、低くなったり、変わってしまうのが感覚。そこで、修正が必要になる。試合の中であっても、思いきり高く、思いきり低く、とハッキリ差をつけて投げ、その日の自身の状態を早めに把握すること。でも、そこで躊躇して小さな変化で修正点を探すと、なかなか着地点が見つからない。中途半端にカウントなどを欲しがらず、まずは極端にやることが、早い修正の秘訣だ。

相手の心理を考えてみるべし

 投手心理というのは、速さやキレなど、自身の球に向きがち。でも、ピッチングは打者を抑えるためのもの。相手心理も考えるべきだ。

 実は投手同様に打者も自分本位。できれば、追い込まれるまでは「強振したい」ので、早いカウントから難しいボールには手を出したくない。つまり、打者のねらいを少し外せば真ん中周辺でもカウントを稼げる可能性があるということだ。それなのにリスクを恐れて厳しい球を投げたいと考え、ボール先行してしまうのが投手の悲しき性。この掛け違いに気をつけるべし。

全盛期は常に未来にある

 草野球だからと、スポーツの根幹を忘れてしまうと、少し楽しみが減ってしまう。やっぱり、スポーツは「うまくなろう」と思わないと、おもしろくない。考えて、試行錯誤して、成長する気持ちが大事。「全盛期は常に未来」。そう考えると、スポーツも、人生も、おもしろくなるはずだ。

【著者プロフィール】
アニキ
大阪府出身。本名は平山勝雄。右投右打。高津高校-神戸大学。高校時からピッチャーとなり、神戸大学ではエースに成長し、MAX147km/hを投げる本格派として、プロ、社会人野球から注目された。卒業後はテレビ局に入社し、プロデューサーとして活躍。2016年、YouTubeにて『トクサンTV』を立ち上げ、プロデューサーとして有名チャンネルに育てるとともに、出演者としても、その理論的野球論で人気に。所属チーム「天晴」では40歳を超えて140km/hを投げる速球投手にして、文字通りのアニキ分。

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