職場の認識は「身近な5人」に歪められている! これからのビジネスパーソンに必要な3つの“視野”

ビジネス

公開日:2019/12/18

『分断を生むエジソン』(北野唯我/講談社)

 11月、ローマ教皇が38年ぶりに来日。教皇はその説教の中で「分断化されていく社会」への危機感を訴えた。技術の発達で地球が狭くなったように思える一方で様々な対立が表面化・深刻化し、まさに「分断化」は現代社会を象徴するキーワードといえるだろう。

 ビジネスにおいても「分断」は多大なチャンスを潰す原因になりかねない。デビュー作『転職の思考法』(ダイヤモンド社)と次作『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)でいきなり26万部を超えるベストセラーを叩き出した注目の実業家であり作家・北野唯我氏の新刊『分断を生むエジソン』(北野唯我/講談社)は、社会に分断を生む存在を可視化し、ビジネスパーソンが「社会を捉える視点」を補強する。これからのビジネスパーソンはどのような視点持つべきなのか。本書からいくつか紹介しよう。

●「5人の法則」のジレンマに陥るな

 ある社員が「うちの会社は」と言うとき、実際には「自分の周りの5人」に起きていることだけで話しているケースがとても多い。そのため職場の認識は「身近な5人」によって歪められてしまうのだ。しばしば経営の立場にいるとぶつかるジレンマだが、成功するためには「6人目以降の世界」を理解する努力をしなければならないのだ。

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●「影響力の地図」を持つこと

 6人目の世界を理解するためには「影響力の地図」を持ち、社会において様々な価値観がどうバランスをとっているのかを理解したほうがいい。その地図とは、アメリカを例にするならば、テクノロジーと個人を大事にする革新派のシリコンバレーのような「西の国」、経済や組織を大事にし実利を重んじるニューヨークのような「東の国」、国家や公益を重視しルールを執行するワシントンD.C.のような「中部」、生活や家族を大事にし実生活に紐づくものを好む「南部」の4つの価値観で分かれた世界。大事なことは、この4つの価値観はどんな単位の社会(ex.会社や学校などの組織)においても共通しているということ。つまりどこの社会にも地図があり、それを把握することがポイントになる。

●「つなぐもの」と「分断するもの」のどちらになるか?

 自分は「影響力の地図」のどこの国の住人なのだろう? そこを認識したら、自分の視点から見える世界は絶対ではなく、それぞれ「役割」が違うだけだと理解しよう。ビジネスパーソンとして大事なことは、いかにそれらの国を「つなぐもの」となり自分の影響力を強めるか。「分断を煽ること。それは最も簡単な才能の使い方だ」と著者が書くように、意識しなければ簡単に「分断するもの」にもなってしまうことを肝に銘じよう。

 「失敗した起業家のアンナ」が「カリスマコンサルタント・黒岩」の教えを請う物語形式で進む本書。「分断するもの」をキャラクターにして、楽しくわかりやすく伝えることで「最も高い壁に向かい挑戦し続ける全てのビジネスパーソンへの応援ソングを届けたかった」という著者。読むタイミングやライフステージ、年齢によって刺さる内容が異なるように、様々なビジネスパーソンに必要な視点が2人の対話を通して語られる。あなたも一度、本書と対話してみてはいかがだろうか。

文=荒井理恵