「動画をバズらせたい!」人必見。確実に拡散される動画・ライブ配信のノウハウ

ビジネス

公開日:2019/12/17

『バズる動画・ライブ配信 確実に拡散するしくみ』(飯田祐基/ダイヤモンド社)

「自分の映像をバズらせたい!」…そんな願いが神社の絵馬に書かれていても何ら不自然ではない時代になった。動画がバズる確約はないかもしれないが、“バズらない確率”を下げる方法はある。そう語るのが、『バズる動画・ライブ配信 確実に拡散するしくみ』(飯田祐基/ダイヤモンド社)だ。そのための具体的方法が再現度の高い形で読者に伝わるよう、惜しみなく知識が共有されている。

■失敗する確率を下げる…その具体策は?

 22歳からインフルエンサー・マーケティングに従事してきてこれまで500本以上の動画制作やライブ配信に携わってきた著者によると、動画やライブ配信をより多くの人に拡散させる基本的な考え方は、「広告」をひっくり返した「告広」という言葉にあるという。

「広く告げる」のではなく、「告げた結果広がる」。口コミによる密度の濃い情報、つまり影響力の強い情報が「告げる力」を伴って自ずと広がっていくという展開だ。これは、2018年にヒットして社会現象になった映画『カメラを止めるな!』でも見られた。「ネタバレ厳禁」「何回も観た」「いい意味で裏切られた」など、気になる文言とともにSNSやメディア報道によって拡散された結果、同作はインディーズ映画としては異例の数十億円の興行収入を得た。

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 動画を拡散させたいと願うのは個人だけではなく、動画マーケティングを展開する企業にとっても同様だろう。個人や企業が、こうした大規模な拡散現象を再現するにはどうすればよいのだろうか?

“動画業界は基本的に先発優位なので、新規参入者が後から追いつくのは容易ではありません。同じようなことをして追いつくのはまず不可能とさえ言えます。この「不都合な真実」を押さえておくことは、拡散を考える上でとても重要です。”

 こう端的に述べる。また、「世にある動画の95%は『バズる可能性がない動画』」と厳しい前置きをした上で、著者は拡散するためのキーポイントを紹介していく。

・質より量
・すでにバズっている動画や知名度のあるものに乗っかる
・他の人がやっていないことをやる

 この3点からいえるひとつの方策は、なかなかバズらなくても地道に自分(たち)の好きなことをアップし続け、バズっている動画の特徴を分析し、自分(たち)だけにできる動画スタイルを形作っていくことだろう。つまり、動画の内容よりも、量を作るうえで重要なのは「作りたい」というモチベーションだということになる。

■ライブ配信は動画投稿とコツが少し異なる――

 本書のもうひとつのトピックであるライブ配信についても少し触れておきたい。ライバーと視聴者のコミュニケーションが肝となっているライブ配信は、完成品を投稿する動画制作とは性質がちょっと異なる。

“ライバーと視聴者の間で起こる化学反応こそが、ライブ配信の醍醐味であり、視聴者を呼ぶ最重要要素となります。
つまり、ライブ配信は、「視聴者とつくり上げる、未完成品」であることに魅力があるともいえます。”

 動画制作が配信者の「好きなこと」「やりたいこと」「伝えたいこと」に基づいているとするならば、ライブ配信はそれらに加えて、視聴者のニーズやフィードバックが配信者へリアルタイムにダイレクトに伝わる点が魅力となる。この「リアルさ」が巻き起こすパワーを著者は風速にたとえて、個人だけではなく企業もなるべく早くその流れの中に身を委ねるべきだと主張する。

「バズる」と題名に入っているものの、著者はそれだけが目的とされることには賛同していないようだ。個人ならば自分の好きなこと・やりたいこと、企業ならばサービスや商品をより深く考えて、良いサイクルを築きモチベーションを自走させるのが、動画やライブ配信をより拡散させる一番の近道なのだから。

文=神保慶政