ファン必見! シャーロックを翻弄した「女王様」から学ぶイギリス英語

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公開日:2019/12/23

 コナン・ドイルの原作を翻案したBBC制作のドラマ「SHERLOCK」。シーズン2・エピソード1「ベルグレービアの醜聞(A Scandal in Belgravia)」の英国での視聴者数は1000万人越え(*)を記録したほどの人気シリーズである。

「ベルグレービア」の最大の見どころは、アイリーン・アドラーの存在だろう。彼女の職業はDominatrix「女王様」。シャーロックは、彼女からある高名な方の不名誉な秘密の証拠を取り戻すように依頼されるが、彼女の機知に富み度胸のある行動に翻弄されてしまう。

 今回はそんな謎多き魅力的な女性・アイリーンのミステリアスなセリフを『バイリンガル版 SHERLOCK ベルグレービアの醜聞』(上)(スティーヴン・モファット、マーク・ゲイティス:脚本、Jay.:マンガ/KADOKAWA)からご紹介しよう。

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Well, now have you been wicked Your Highness?
(それで 貴女はいけない子でしたか? 殿下)

 アイリーンとある高名な方との秘密の「プレイ」でのセリフ。イギリスでは貴族・皇族に対しての形式的な呼び方がいくつか存在しておりこの「Your Highness」がそのひとつである。

 もしも万が一、あなたがクイーン(エリザベス2世)に直接声をかけるべきときが来たとしたら、どう呼びかけるべきか?

 正解は最初に「Your Majesty(陛下)」、その後は「Ma’am(女王)」と呼びかけるのが正しい。

Brainy is the new sexy.
(知的って新しいセクシー)

 ある殺人事件をめぐってシャーロックとジョン、アイリーンが会話をしているときの言葉。

 彼女らしいミステリアスな雰囲気がただようこのセリフ、実は最近英語でよく見るようになった「A is the new B.」というフレーズが使われている。「Bの概念は変わって今はAとなっている」といったニュアンスだ。

 つまり、彼女は「今は知的なのがセクシーなの」と言っているのである。このフレーズ、「60 is the new 30.(今の60代は感覚的には従来の30代と同じ―60代はまだまだ若い)」のような使い方ができるので覚えると便利だ。

This is how I want you to remember me, the woman who beat you.
(あなたの記憶の中に残りたい あなたを打ち負かした女として)

 アイリーンは元ネタとなっている『ボヘミアの醜聞』にも登場するキャラクターだ。

 シャーロックとアイリーンの丁々発止のやり取りは原作でも見どころなのだが、設定に関しては「ベルグレービア」と少々異なる点がある。原作のアイリーンはアメリカ生まれのオペラ歌手という設定だ。

 彼女は原作で一度しか登場していないにも関わらず、あのシャーロックと渡り合った聡明な女性としてファンの間でも屈指の人気を誇る。そういった背景が上の「ベルグレービア」のセリフにも反映されているのであろう。

 漫画本編ではほかにもシャーロックやジョンといったおなじみの人物の掛け合いを英日対訳で読むことができる。

 奥深い「SHERLOCK」の世界観を年の瀬に『バイリンガル版 SHERLOCK ベルグレービアの醜聞』(上)で味わうのはいかがだろうか。

 *放送日から1週間以内の録画視聴者を含む。