とうとう光と尚哉の恋が動き出す……? 『ヲタクに恋は難しい』最新8巻のむずキュン度が高すぎる

マンガ

公開日:2019/12/26

『ヲタクに恋は難しい』8巻(ふじた/一迅社)

 2020年2月7日に高畑充希と山崎賢人(※)が主演する実写映画が公開予定、累計900万部突破の大人気漫画『ヲタクに恋は難しい』(ふじた/一迅社)の最新刊となる第8巻が発売された。

 ゲーヲタの二藤宏嵩と隠れ腐女子の桃瀬成海カップル、そして彼らの同僚であり男性キャラ専門コスプレイヤーの小柳花子とベタなものを好むライトなヲタク樺倉太郎カップルを中心に、ヲタク同士の恋愛をユニークに描いてきた作品だ。

 基本的にはコメディタッチでヲタクあるあるな小ネタが満載だが、ときに彼らの不器用で初々しい恋愛模様なども描かれ、きゅんとする場面も多い。

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 そして、日常のエピソードを中心に描かれていた本作も、だんだんと巻を重ねるにつれて、お互いに成長したり関係が発展したりしていく。いつも子供のような喧嘩ばかり繰り返していた樺倉と小柳は、前巻でひとつ壁を乗り越え、婚約へと至った。

 続く最新巻では、それまでの少しシリアスな雰囲気から一転、再び明るく初々しいヲタクの恋愛がまた描かれ始める。ただのゲーム友達であった二藤尚哉と桜城光の関係にスポットライトが当たるのだ。

 このふたりといえば、宏嵩の弟である尚哉が同じ大学に通う光を見て、「兄に似ている」と男の子と勘違いしたところから始まった関係。それからしばらくの間、尚哉は光のことを男の子だと信じ込み、光も自分が女だということを言えずにいた。

 自分が女だとバレたことが気まずくなり家に引きこもってしまった光だったが、なんとか仲を戻したかった尚哉は宏嵩と成海に手助けをしてもらい、見事オンラインゲームで仲直り。兄に似ず、まったくヲタク要素のない陽キャイケメンの尚哉は、ガチゲーマーの光とゲームを通して、より仲を深めていくのだった。

 宏嵩と成海、樺倉と小柳などのカップルに比べて、ずっとピュアな友達関係を続けていたふたり。しかし、最新巻を読んでみると、何やらふたりの心に変化が訪れているようなのだ。ふたりの仲がどう変わっていくのか、具体的な部分は実際に作品を読んでもらうとして、個人的に面白かったのは尚哉の不器用さだ。

 イケメンで、爽やかで、社交的。ヲタク用語を何一つ知らず、ゲームもド下手という、作品に登場する唯一の非ヲタキャラ尚哉。設定だけ聞けば、恋愛も上手に楽しめそうな男に思えるが、光を前にした尚哉の「恋愛下手感」がとにかく半端ないので笑ってしまう。デートで可愛い服を着てきた光にうまいこと一つ言えないせいで緊張している彼女をさらに焦らせてる様子は、もどかしく、読んでいるこっちがムズムズしてしまう。

『ヲタクに恋は難しい』というタイトルではあるが、非ヲタにとっても、恋愛は難しいものなのだ。ふたりの関係に変化が訪れたといっても、まだまだ気持ちにすらお互いに気づけていない、序盤戦。これからふたりがどのように恋愛関係に発展していくのか、と想像するだけで胸がときめく。

文=園田もなか

(※)崎は立つへんに崎のつくり