子どものやる気をくじいていませんか? 10億件の学習データを基にした『理系が得意な子の育て方』

出産・子育て

公開日:2019/12/25

『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』(文響社/今木智隆)

 小学生のお子さんのいる方へ。ズバリあなたのお子さんは算数が得意だろうか?

 全ての理系科目の入り口になる算数は、勉強することで自然に論理的思考力や問題解決力などさまざまな力がつく大切な科目だ。これからの世の中は「理系」の方が有利とも言われており、小学生のうちに「苦手」にしてしまうとお子さんの将来にマイナスになってしまうかも…。ちょっと不安という方もご安心を。算数のタブレット教材「RISU」を展開する今木智隆氏は「算数は勉強のやり方を間違えなければ、誰でもテストで100点がとれる」と、その著書『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』(文響社)で太鼓判を押している。

 著者によれば、算数とはRPG(ロールプレイングゲーム)に近いイメージであり、「あるダンジョンをクリアできなければ、次のダンジョンに進むことができない構造」になっているとのこと。何か苦手があった場合は、「前のダンジョンをクリアできたつもりでいたけれど、実は取りこぼしがあった」ということで、前に戻ってちゃんとクリアすればいいわけだ。

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 ここで注意したいのは、算数の学習で大事なのは「学年」ではなく「前後のつながり」ということ。たとえば4年生で「立体図形」につまずいた子に必要なのは、立体図形を繰り返し勉強することでも4年生の内容を復習することでもなく、「2年生の平面図形」に戻ることなのだ。「えー、2年生の?」と戸惑うかもしれないが、学年ではなく単元のつながりを考えて子どもを誘導するのも、大人だからできるナイスアシストに違いない。

 ちなみに著者は「うちはいつも70点くらいだから、とりあえず大丈夫かな?」という層にもアラームを鳴らす。実は小学校のテストは基本問題の解き方だけ覚えてしまえばそこそこの点は取れてしまうので、理解不十分のために応用問題はできていなくても、つい見逃されやすい。実はこの層に苦手予備軍が一番多いというデータもあり、むしろ「30点や40点の方が好ましい」と著者。点数が悪いと本人も苦手を自覚しやすいが、そこそこの点数だと「なんとなく苦手」止まりになってしまい、なかなか苦手克服をモチベートしにくいのだ。

 学習教材を通じて10億件の学習傾向をデータ化したという著者は、本書において「やる気を出させるつもりで、子どものモチベーションをくじく親は多い」「苦手を無くそうと頑張ると成績は下がる」など、算数の勉強法の残念な真実を次々に指摘。どうやら何気ない声かけが実はNGワードということも多いようで、親なら知っておきたいトピックばかりだ。嬉しいのはそうした問題点を指摘しながら、解決策となる「正しい勉強法」まで伝授してくれることだろう。さらには苦手な子が多い問題群をピックアップし、例題と共につまずきやすいポイントも解説。「どの単元に戻ればいい」といったガイドはもちろん、教え方のテクニックも公開してくれている。

 まだ子どもが小学生だと「理系とか文系とか早すぎでは?」と戸惑う方もいるかもしれないが、「苦手な算数を得意にさせるための本」と思えばかなり心強いはず。この冬休みを使って本書の例題をお子さんと一緒にときながら、我が子の「いま」を点検してみるのもいいだろう。

文=荒井理恵

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