「腰が痛いから運動を避ける」が間違いなのは知ってる?

健康・美容

2019/12/27

『腰痛は歩いて治す からだを動かしたくなる整形外科』(谷川浩隆/講談社現代新書)

 立ち上がるときにズキンとする。座っているとジワジワと腰に張ったような痛みが出る。腰が痛くて動けない……。痛みの違いこそあれ、「腰痛」に悩んでいる人は多いのではないだろうか。そしてまた、通院して医師の治療を受けているけれども、なかなかスッキリと治らない、という方もいることだろう。

 そんな方にお薦めしたいのが、『腰痛は歩いて治す からだを動かしたくなる整形外科』(谷川浩隆/講談社現代新書)だ。著者の谷川浩隆氏は、整形外科医として30年以上のキャリアを持ち、2005年に『日本心療内科学会誌』に書いた学術論文のなかで「心療整形外科」という言葉を初めて使った人物。身体と心の両面から腰痛を治療していく心療整形外科のパイオニアともいえる存在だ。本書では「心療整形外科」という視点から腰痛を軽減する方法を教えてくれる。

 ここでは「なぜ歩くと腰痛が軽減されるのか?」、その理由と実践法の一部を紹介していこう。

■腰痛は、心の問題も影響

 腰が痛いとき、その原因はどこにあるのだろうか? おそらく多くの人が、腰痛の原因は腰にあると考えることだろう。しかし、それは少し違っているようだ。

「腰痛や肩こり、関節痛の原因はもちろんからだにあるのですが、ストレスや不安といった『こころ』の問題が密接に関係しています」と著者はいう。しかし、だからといって整形外科医が精神科や心療内科を紹介することや、協力して治療しようとしても駄目、というのがおもしろいところ。「整形外科医が自ら精神科や心療内科を勉強して、ひとりの整形外科医が身体的要因と心理的要因の両方から患者さんと向かい合う」ことが大切なのだという。著者自身もこれを実践するなかで、それまで整形外科医のあいだでも認識されていなかった心療整形外科を確立してきている。

 整形外科といえば「切った、はった」の世界。まずは薬や注射で治療し、それでも治らなければ手術……。そんなイメージはもう過去のもの。いまの整形外科の世界では、腰痛に心理的な要因が関係しているというのは当たり前のことになっているという。それは2012年に日本整形外科学会と日本腰痛学会から初めて発表された『腰痛診療ガイドライン』で「認知行動療法は腰痛の治療に有用である」とされていることからもわかるだろう。認知行動療法を簡単にいえば、患者の考え方(=認知)を修正することによって生活(=行動)を改善するというもの。「メンタルな治療法」の代表的なもののひとつでもあるという。

 腰痛につく病名としては、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、座骨神経痛、変形性腰痛症などが知られている。これらはどれも脊椎やその関節などに身体的な原因がある病気だ。だが、それに加えて患者が持つ「なんで腰痛になったのか」「この痛みはいつまで続くのか」などの不安や心配、さらには職場や家庭でのストレスも、腰痛をつらく感じる大きな要素なのだという。

 腰痛のつらさを軽減するために本書が提案している「歩く」ことは、気持ちを切りかえるためのトリガーのひとつ。「痛い、痛い」とふさぎこんでしまうのはストレス。その気持ちを切りかえ、「歩く」という日常的な動作、つまり「すぐに始められる」ことにできる範囲から取り組んでいく。そうすることによって、身体的にも、精神的にも状態がよくなり、少しずつ痛みがやわらいでいくのだという。

この記事で紹介した書籍ほか

腰痛は歩いて治す からだを動かしたくなる整形外科 (講談社現代新書)

著:
出版社:
講談社
発売日:
ISBN:
9784065180167