100年を超えて読み継がれる名著!『人は考えたとおりの人間になる』が超ためになる!

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公開日:2020/1/3

『人は考えたとおりの人間になる』(ジェームズ・アレン:著、グループダイナミックス研究所:監修、栁平彬:翻訳/田畑書店)

 数ある自己啓発本の中で、その生みの親となった本がある。1903年にイギリスで出版された原題『As a Man Thinketh』だ。世界的ベストセラーとなり、「聖書の次に読まれている名著」といわれるほどの評判を得た。日本では邦題『原因と結果の法則』として知られている。

『人は考えたとおりの人間になる』(ジェームズ・アレン:著、グループダイナミックス研究所:監修、栁平彬:翻訳/田畑書店)は、その世界的名著を名訳で復活させたものだ。いざ中身を開いてみると、100年を超えて読み継がれるたしかな気づきがあった。

人間の心は、たとえてみれば庭園のようなものだ。よく手入れをして美しい庭にすることもできれば、荒れるにまかせてしまうこともできる。手入れをしようとしまいと、庭には必ず何かが育つ。役に立つ種を蒔かなければ、どこからか雑草の種子が運ばれてきて芽ぶき、庭は雑草におおわれてしまう。

 すべての人には心がある。生まれたときはまっさら、何もない庭園だ。私たちは成長するとともに、様々な経験をして色々な種をそこへまいていく。楽しかったこと、悲しかったこと、喜びにあふれたこと、苦しくて泣いたこと。そこから多種多様な植物が育ち、色とりどりの花を咲かせる。ある程度大きくなる頃には、その庭園は1つのまとまりある色彩を見せるだろう。それが性格や思考と呼ばれるものになる。

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 その庭園が美しいものならば、きっとその人も美しく気高い人と評価され、周囲から愛される存在になるだろう。一方でどす黒く寒々しいものならば…とても周囲から愛される存在にはなれないはずだ。

行動が、人の思考の花であるならば、喜びや悲しみ、苦しみは、その果実である。人が人生において成功して甘い果実を実らせるか、また失敗してにがい果実を実らせるかは、すべて本人の「耕作」次第なのだ。

 その庭園がもたらす影響は人生において計り知れない。美しい庭園を持つ者は、よい人と出会い、よい選択をして、よい努力を重ね、よりよい道を進んでいくだろう。一方で寒々しい庭園を持つ人は、悪影響に苦しみ、望ましくない道を進んでいくだろう。

 しかし人生はよいことばかりではなく、自分の力ではどうしようもない出来事に遭遇することもある。すべてを投げ出したくなり、この世のすべてを恨むような心境に陥ることもある。けれども、どんなときでも私たちは絶対に清く正しく信念を持って庭園を耕すべきだ。

人が身をもちくずしたり、刑務所に入れられたりするのは、運命のいたずらでも、周囲の環境のためでもない。その人の卑しいものの考え方や欲望がそうさせたのである。清い心を持った人が、環境や状況に作用されて、突然悪事を働くというようなことはあり得ないことだ。その人の心に以前から巣くっていた邪悪な考えが、何らかのきっかけで頭をもたげたのである。環境が人間を作るわけがない。環境は人に自分自身の姿を明らかにしてくれる。(中略)つまり、人間は、自分自身のものの考え方の統治者であるだけでなく、自分自身の創造主であり、環境の設計者でもあるわけだ。

 どのような思考を持ち、どのような選択をするかは、すべてにおいて私たちの自由だ。しかし唯一、自分自身の庭園に縛られて、あらゆる選択をあらゆる庭園を通して行う。だからある者は喜び、ある者は嘆くのだ。

人が手にする成果も失敗も、すべてその人のものの考え方いかんにかかわっている。

 だから今日から生き方を変えていこう。

人間は、自分の考えや心を高めることで、はじめて進歩し、発展し、目標を達成することができる。反対に、考え方や心を高めなければ、いつまでたっても弱くみじめで卑しいままでいることになる。

 私たちの中には成功者を妬む人々がいる。マスメディアで見かける有名人に悪意を投げる人がいる。しかし彼らはどのような道であれ、なにかを犠牲にして成功のための努力を続けなければ、いずれ淘汰され、成功者と呼ばれるほどにはならなかった。彼らは私たちの見えないところで必死に庭園を耕し、考えや心を高め、努力に努力を重ねてきた。だから今があるのだ。

心の中に美しい未来像を描き、理想を追い求める人は、いつか必ずそれを実現する。

 そのためにたゆまぬ努力を続けよう。どれだけ辛いことがあっても、自分自身がものの考え方の統治者であり、自分自身の創造主であり、環境の設計者であることを理解していれば、いつか生きる場所が変わり、道が拓けるはずだ。「人は考えたとおりの人間になる」。どんなときも思考という庭園に美しい花を咲かせ、美しい果実を実らせる人間でありたい。

文=いのうえゆきひろ