世の中の“バカな連中”は4タイプ! それぞれのバカと上手に付き合う方法

ビジネス

更新日:2023/1/13

『世界にバカは4人いる 他人を平気で困らせる人々と付き合う方法』(トーマス・エリクソン:著、中野信子:監修、オーグレン英里子:訳/フォレスト出版)

 仕事をしていると、バカな上司、バカな同僚、バカな部下、バカな取引先…声に出さないにしてもそんな人たちに出くわすこともある。しかし、その相手は本当に「バカ」なのだろうか?
 
 あきらかに理解力が足りないとか、コミュニケーションに問題があるという人もいるかもしれない。だが、もしかしたらバカだと思っている相手はただあなたとは違うタイプの人間で、思考や行動のパターン、コミュニケーションの方法などが違うために、あなたが「バカ」と感じてしまっているだけなのかもしれない。もしそうだとしたら、相手もあなたのことを理解できず、あなたのことを「バカ」と感じている可能性も否定できない…。
 
 そんな自分とは違うタイプの相手と、どうすればうまく付き合っていくことができるかを指南してくれるのが、『世界にバカは4人いる 他人を平気で困らせる人々と付き合う方法』(トーマス・エリクソン:著、中野信子:監修、オーグレン英里子:訳/フォレスト出版)だ。著者はスウェーデンでコミュニケーション研究の第一人者として知られており、本書は本国では85万部を超えるベストセラーとなり、世界40カ国での出版も決まっている。

■あなたはどのタイプ? “バカな連中”の特徴を知ろう

 本書は、“バカな連中”のタイプを次の4つに分類する。

・赤タイプ(主導型)
野望的、意志が固い、競争心がある、直接的、頑固、忍耐力にかける、強硬…など
・黄タイプ(感化型)
外交的、オープン、ポジティブ、情深い、衝動的、感情的、人からの注目が必要…など
・緑タイプ(安定型)
忍耐強い、親しまれる、信頼できる、用心深い、聞き上手、協力的、支援的、忠実…など
・青タイプ(分析型)
注意深い、型にはまった、正確、慎重、論理的、他人行儀、完璧主義、計画的…など

 たとえば床に油がこぼれているのを見つけたとき、本書によれば、それぞれのタイプは次のような反応をするという。

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 赤タイプはその場にいる人を叱りつけ、「拭いておけ」と命令する。黄タイプはこぼれていることには気づくが、すぐに忘れてしまう。緑タイプは、油を見て嫌な気持ちになるが、何もしない。青タイプは、こぼれた原因をひたすら考えるだけで、とくに対処はしない。

 ひとつの事柄でもこれだけ反応が異なるため、それぞれのタイプはお互いを理解できず、相手のことを「バカ」だと感じてしまうのだという。つまり、『世界にバカは4人いる』という本書のタイトルは、実際に「バカ」がいるのではなく、たいていの場合、異なる4つのタイプの人間が互いを「バカ」と見なしているという意味なのだ。

■どうやれば“バカな連中”たちとうまく付き合うことができる?

 では、自分と違ったタイプの人間とうまく付き合っていくには、どうすればいいのだろうか? 本書では、まず相手のタイプを見極め、自分もそのタイプにあわせるべきだとアドバイスする。要するに、相手が赤タイプならば自分も赤タイプのようにふるまえ、ということだ。

 これは、相手を変えるのは難しいのだから、自分を変えたほうがいいというアドラー心理学などにも通じる考え方である。また、目の前にいる相手がどのタイプかわからないときは、とりあえず緑タイプのように振る舞うといいとアドバイスしている。

 もちろん、自分の本音を殺して相手に合わせているだけでは消耗してしまうし、その場はうまくいっても結果としてよくないこともあるだろう。本書ではそのようなケースについても、豊富な具体例を示しながらアドバイスを提示する。たとえば、他人からの批判を他のタイプよりもおそれる緑タイプに、どうしても注意しなければならない場合。そんなときには、周りに誰もいないのを確認してから、言い方に気を遣いつつ伝えたほうがいいといった具合だ。

 当然のことだが、この4つのタイプは、どれが正しいとかどれがすぐれているという問題ではない。それよりも、“4つのタイプがバランスよくいる組織”のほうが、うまく機能するという。本書には著者が行ったという興味深い実験の報告が記されている。それによると、それぞれの色タイプの人間同士で固めたグループを4つ作って課題を与えてみたところ、どのグループもうまく課題を達成できなかったというのだ。

 月並みだが、結局組織にとって一番大切なのは、“多様性と適材適所”ということだろう。まず自分の適性を確認するうえでも、本書を開いてみてはいかがだろうか。

文=高坂笑/バーネット