「面倒くさい」を克服しないと認知症に! “脳のゴミ”をためない習慣

健康・美容

公開日:2020/1/8

『もの忘れをこれ以上増やしたくない人が読む本 脳のゴミをためない習慣』(松原英多/講談社)

 顔はわかっているのに、名前を思い出せない……。40歳をすぎる頃から、そんな経験は増えてくるもの。でも、それは年齢相応なのだから仕方がないこと。そう考えている方に手に取ってもらいたいのが『もの忘れをこれ以上増やしたくない人が読む本 脳のゴミをためない習慣』(松原英多/講談社)だ。

 著者は、“健康・長寿”の医者として多くの本を出版し、長年テレビでも活躍、現在も臨床医として日々、認知症の治療にあたる松原英多氏。名前忘れが単なるもの忘れではなく、認知症につながる危険性を指摘したうえで、40代から行いたい認知症の予防法をわかりやすく解説してくれる。ここではその一部を紹介していきたい。

■認知症の原因は「面倒くさい」という気持ち!?

「顔は覚えているけれど、名前は思い出せない……」

 これはもの忘れだろうか、それとも認知症の始まりだろうか? この疑問に対して、本書はこう答えている。

名前忘れは加齢とともに増加します。
認知症の最大の原因は老化です。

 このふたつを合わせれば、名前忘れは老化の証拠であり、認知症の始まりと言えなくもない。

 さあ、たいへん。名前忘れの陰には認知症がひそんでいるのだ。

「人の名前が出てこなくなるぐらい、年なのだから仕方がない」。そんな考えはあらためなければならないようだ。

 本書によると、名前忘れをはじめとするもの忘れの大きな原因は「面倒くさい」だという。記憶は、(1)覚える、(2)記憶の倉庫に保管する、(3)記憶を思い出す、という3つの機能で成り立っている。記憶の倉庫は巨大で、平均的な図書館の書籍量の2~3倍に匹敵する。この巨大な倉庫から一つひとつの記憶を引っ張り出すのは簡単なことではなく、奥深くにしまい込まれた記憶をたどろうとするときは、時間をかけて芋づる式に記憶をたどっていくことになる。そんなとき、つい「面倒くさい」となり、「忘れた」となってしまうのだという。著者はいう「これは記憶力の減退ではなく、思い出すのが面倒なだけです」と。

 40歳を超えると、この「面倒くさい」が顕著になるという。そして、認知症予防で大切なのは、手間暇を惜しまず、思い出す努力をすること。その努力が、「面倒くさい」を克服し、思考や行動の幅を広げてくれる。「面倒くさい」は、医学的には意欲低下で、認知症になる「その前」から現れ、認知症の初期にも進行期にも見られる。脳血管性認知症の70%、アルツハイマー型認知症の50%以上に現れるという確率だ。

「面倒くさい」には、10の悪影響があるというから、絶対に陥らないようにしたい。「面倒くさい」を克服しなければ、脳に「認知症の原因となるゴミ」がたまってしまい、どうしようもなくなってしまうしれない。

■大切なのは「脳循環」。アミロイドβを押し流せ!

 認知症の種類は100以上あるが、いま日本人にもっとも多いものがアルツハイマー型認知症だ。このアルツハイマー型認知症の原因は、脳内にたまるゴミだというから驚きだ。

 脳内でアミノ酸がタンパク質に再合成されるとき、「アミロイドβ(ベータ)」という成分が排出される。このアミロイドβは有毒性が高く、時間の経過とともに脳内で増加・蓄積されていく。問題なのは、増加・蓄積が進むにつれて「周囲の脳神経細胞を死滅」させていくことだ。知的活動の原点ともいえる脳神経細胞が死滅すれば、記憶力や知性、理性などの知的活動は低下してしまう。それがアルツハイマー型認知症というわけだ。

 そんなアミロイドβに対して、我々はどうすればいいのだろうか? 著者はいう、「確かに、アミロイドβは悪の横綱です。でも弱点があります」と。

 アミロイドβは老廃物であり、老廃物である以上、血液によって押し流される運命にあるという。そのために重要になるのが脳内の血液のめぐり、「脳循環」だ。脳循環さえよければ、アミロイドβはたまりにくく、たとえたまったとしても押し流されてしまうから安心なのだそうだ。

 40代にとってここで問題になるのは、高血圧や動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病の存在。血管にダメージを与えるこれらの病気があると、せっかく脳循環をよくしようと思っても、思うように脳内に血液が流れなくなってしまう。しかし本書によると「高血圧でも動脈硬化でも、糖尿病だって、『検査値が正常内だったら、健常者と同じ健康度が保てる』という定義」があるので、「主治医と相談して、生活習慣病管理を頑張る」ことが大切だという。

「40歳を超えたら、生活習慣病管理」が肝だ。

 この時期から始める生活習慣病管理が、最良の認知症予防策。「脳循環さえよければ、アミロイドβは押し流せる」の一句を忘れないでほしい。

 ほかにも脳内のゴミ(アミロイドβ)を取り除くための方法として、「食後の一枚のガム」「よい姿勢」「ワインや緑茶」などを紹介。その効果を教えてくれる。また、軽い運動の高い効果についても解説されているので、それもぜひ参考にしてもらいたい。

 40歳にもなれば、ちょっとしたもの忘れは当たり前。ついつい、そんなふうに考えて目を背けてしまいがちだが、こうしたもの忘れの裏には認知症が隠れている。その事実にしっかりと向き合い、いまの段階からできる認知症予防に取り組んでいく。それが、長い人生を認知症知らずで過ごすことにつながっていく。

 現在、認知症の確実な治療法はない。我々にできるのは、早期から認知症予防に取り組むことだけだ。

文=井上淳

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