休みが明けても取れない「疲れ」の正体は? 休み方マネジメントで気持ちいいスタートダッシュを!

ビジネス

更新日:2020/5/28

『「疲れない」が毎日続く! 休み方マネジメント』(菅原洋平/河出書房新社)

 今回の年末年始休暇は長かった人も多いようだ。バカンスを楽しんだという人もいれば、寝正月でたっぷりと新たなスタートへの英気を養ったという人もいるだろう。さて、皆さんはこの休暇で“疲れ”は取れただろうか?
 
 しっかり休んだはずなのに、通勤列車に揺られる身体はどんより重たい――。「若い頃に比べて、体力が落ちたからかな?」と思いながらエナジードリンクに手を伸ばしているのなら、ちょっと待ってほしい。もしかしたらその疲れは、身体の疲れじゃなくて“脳”の疲れかもしれないからだ。
 
 作業療法士でもある著者が、脳の疲れのメカニズムについて説明し、さまざまな疲れ解決策を提示するのが『「疲れない」が毎日続く! 休み方マネジメント』(菅原洋平/河出書房新社)。本書によると、脳には「認知コスト」と呼ばれるエネルギーが存在し、それがなくなってしまうと、人は疲れを感じてしまうのだとか。
 
「疲れは取れないもの」なんて諦める前に、まずは本書に掲載されている、すぐ実践できそうな3つの対策を紹介したい。

■生体リズムを整える「4-6-11睡眠の法則」

 人間には元気で活力にあふれる時間と、眠気が襲ってきてボーっとしてしまう時間がある。それらの“生体リズム”が乱れていると、身体や脳に余計な負担がかかってしまうという。つまり、このリズムを整えることが、疲れ知らずになるための第一歩なのだ。

 生体リズムを整えるチャンスは1日3回ある。起床から4時間以内に太陽の光を浴び、6時間後に軽く目を閉じて仮眠を取り、11時間後には身体を動かして体温を上げることで、日中は頭が冴え、夜は自然と眠くなる自然なサイクルが生まれる。これを「4-6-11睡眠の法則」と呼んでいる。

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 生体リズムが整えば、脳が活発になる時間帯と鈍くなってしまう時間が自分でわかるようになるので、活発なときは企画書やプレゼン資料の作成など「頭を使う仕事」を。鈍くなってしまうときはメールチェックやデータの打ち込みなど「あまり頭を使わない仕事」をすると、認知コストが節約できるそうだ。

 生体リズムを整えるには「朝起きたら窓から1m以内に入る」「仮眠は座ったまま6分~30分」「夕方には絶対に寝ない」を心掛けるといいそう。そんなアドバイスが多数本書内で詳しく掲載されているので、ぜひチェックしてみてほしい。

■先延ばしは百害あって一利なし!

「明日できることは明日やろう!」と、急がない仕事はつい後回しにしてしまいがち。だが、脳の疲れという観点で考えてみると、これは悪手以外の何物でもないそうだ。

 先延ばしをして別の仕事に取り掛かる。しかし、別の仕事をしていても「先延ばしした仕事をやらなければ…」と思い出すもののまた後回し、思い出しては後回し…が続いてしまう。思い出した仕事を「やらない」と“決断”する流れは、脳の体力をかなり奪ってしまうそうだ。その結果、後回しにせずすぐ行動する方が認知コストを節約できるので、疲れにくくなるという。

 仕事を先延ばしにすると、最悪の場合忘れてしまったりすることもある。そうなってしまえば、信用はガタ落ち。先延ばしはまさに「百害あって一利なし」なのだ。

■To Doリストは机に置かない

 朝出社したときに1日の仕事をまとめた「To Doリスト」を作って、机の目立つ場所に置いたり、パソコンのディスプレイに貼ったりする人は多いだろう。しかし、そのリストを目に入る場所に置くのは、あまり好ましくないことだそう。

 人間の脳は一度に覚えられるのが4つまでだという。PCでたとえると、5つ目のソフトやデータを起動したらフリーズしてしまうということだ。人間の脳はPCに負けない優れた面も多いが、同時作業という点においては低スペックと言わざるを得ない。

 ある作業に集中している途中で、1日のやるべきことが書かれたメモにふと目を向ける。「午前中は〇〇に電話を掛けて」「午後イチは明日の会議の資料づくりを」なんて考えてしまい、あっという間に脳のメモリを使い切ってしまうのだ。

 やることメモは見えるところには置かず、手帳に挟んだり、デスクにしまったりして、ひとつの作業を終えたらチェックするといった習慣をつけた方が良さそうだ。

「休み明けは疲れていてダルい」「仕事に集中できなくて自己嫌悪」「もっと集中力がほしい」――そんな悩みを抱えているなら、新年が始まった今だからこそ、ひとつずつでも本書のアドバイスを習慣にしてみよう。疲れ知らずで、仕事をバリバリこなせる自分に近づけるはずだ!

文=冴島友貴