「おもてなし」の料理はとことん手を抜いてOK! 年末年始疲労困憊してしまった人におくる「疲れないおもてなし」術

暮らし

公開日:2020/1/11

『おもてなしが疲れる いつもの料理で人を招く』(本多理恵子/平凡社)

 親戚や友人知人と集まるホームパーティーや食事会など「おもてなし」シーンが増える年末年始。クリスマスや忘年会、お正月などをひと通り終えて、ようやくほっと一息つけたという人は多いのではないでしょうか?
 
 気の置けない人たちとわいわい過ごすひと時は楽しい反面、おもてなしをする側からすると「どっと疲れる」イベントでもあります。
 
「部屋を片づけなきゃ」「食事のメニューはどうしよう?」など、おもてなしをする当日が近づくにつれて、どんどんと憂うつな気持ちは増すばかり…。何かと気が重くなりがちな「おもてなし」を根本から解決する1冊が『おもてなしが疲れる いつもの料理で人を招く』(平凡社)です。
 
 著者は2018年に上梓した初の書籍『料理が苦痛だ』(自由国民社)が「今日もごはんを作らなきゃ」という苦痛ともいえる“料理の呪縛”に囚われた多くの女性の心を掴み、異例の大ヒット料理本となった本多理恵子さん。自宅カフェ「Café Rietta」を開業し、それと並行して「お気軽料理サロン」を主宰する、いわばお料理のプロです。
 
 本書では疲れないおもてなしのコツとマインド、失敗知らずの鉄板レシピ63品が紹介されています。

■そもそも「おもてなし」って何だろう?

 毎日の料理ですら面倒くさいのに、わざわざ人を招くおもてなしに“最上級の苦痛”を想像する人も多いはず。

 しかし本書がひもとく「おもてなし」とは、毎日が「気楽な楽しさ」でいっぱいになるようなアイデアのひとつ。おもてなしに必要なのは「豪華な料理」や「綺麗すぎる空間」ではなく、ありのままで一緒に楽しむ“覚悟”なのだといいます。

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 おもてなしをする目的は、自分の料理スキルや素敵生活のアピールではなく、ゲストと仲良くなるため、そして非日常的なイベントを通してマンネリした生活や家族関係に新しい発見を呼び込むため。

 たとえば、あえてゲストという「外の空気」を入れることで、家の中のモヤモヤが緩和される効果があるといいます。家族の中では「妻」や「母親」も基本「自分ひとり」の存在。だからこそ、同じ立場で共感できるゲストとの時間は、よいガス抜きになることもあるそう。

 また、夫婦や家族で一緒におもてなしの準備をすれば、それは立派な共同作業であり、おもてなし自体が共通の楽しみになることだってあるのです。

■おもてなしで最も手を抜くべきは「料理」

 じつはおもてなしで最も手を抜けるパートが「料理」だそう。著者いわく、おもてなし料理は「日常の料理」の延長線上にあるといいます。

 本書では、いつもの料理をおもてなし向けにグレードアップする盛り付けのコツや、余裕をもってゲストと乾杯や会話を楽しむための5品だけで構成するお品書きなど、「疲れないおもてなし」の秘訣が惜しみなく紹介されています。

 ここで本書のおもてなしレシピを一部見ていきましょう。

ポテサラは持ち寄りにも最適な有能アイテム。季節ごとに具材をアレンジしても(写真は根菜のポテサラ)

 最初からテーブルに出しておける前菜としておすすめの「ポテサラ(ポテトサラダ)」。じつに幅広いアレンジができるポテサラは、料理名というよりもはやカテゴリー。本書には、テイストの違う4つのポテサラレシピが掲載されています。

カルパッチョは白身魚でなくて可!(写真はかまぼこの中華風カルパッチョ)

 同じく前菜で、あらかじめ作っておけば冷蔵庫からすぐ出せる「かまぼこの中華風カルパッチョ」。かまぼこをスライスして並べ、市販のザーサイを刻んで調味料にした1品です。お手軽ながら、華やかな見た目は「おもてなし」にぴったり!

 この他、ゲストとの会話を楽しんでいるあいだに出来上がるオーブン&レンジ調理のほったらかしメイン料理や、〆る前に欲しくなる炭水化物メニュー、おしゃれな見た目に盛り上がる簡単ドリンクレシピなども紹介されています。

困ったら冷蔵庫の余りものを混ぜてディップに!

 掲載レシピはおもてなしの機会に限らず、いつでも試してみたくなるようなお手軽でおいしそうなものばかり。本書には「どんな料理も3回作ると自分のものになる」という言葉もありますから、ここぞというときのために普段から腕を磨いておくといいかもしれません。

乾き物は重箱に入れてみよう!

「わざわざ好き好んでおもてなしをするなんて、とんでもない!」今まで面倒がっていたおもてなしのイメージを覆すのが本書。おもてなしに大切なのは、相手を思い、自分も楽しむこと。レストランのような「完ペキなおもてなし」は我が家には必要ないのです。

「疲れないおもてなし」のアイデアは、誰かと一緒に食べたり飲んだりする楽しさを、きっと再発見させてくれるでしょう。

文=ひがしあや