「リアルに泣く」ほど仕事と育児でツライ気持ち、思い切り吐き出してください! 小島慶子の子育てエッセイ

出産・子育て

2020/1/15

『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(小島慶子/日経BP)

 タイトルで「……あっ、私のことだ!」と思った方、ぜひ読んでください。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(小島慶子/日経BP)。

 著者は元アナウンサーであり、現在はエッセイスト、タレントとして活躍している小島慶子さん。小島さんは現在、夫と息子二人の四人家族でオーストラリアのパースで暮らしている。

 本書は、そんな小島さんが綴る子育てエッセイなのだが、

「働きながら家族と生きる」という人としてごく当たり前のことが、なんでこんなに難しいのだろう。そんな世の中、おかしくないか?

 という想いが、連載の根底にあったのだそう(本書は『日経DUAL』の記事を加筆修正し、新たな記事を加えたもの)。

 本書を読むまで、私は小島さんに「カッコイイキャリアウーマン」というイメージを持っており、この本の内容も「どうやったら夫婦円満で、効率よく、スマートに家事育児ができるのか(しかも私、海外で子育てしてる意識高い系です)」的な「自己啓発おしゃれエッセイ」なのかと思っていた。

 ……けれど、それは全くの勘違い。むしろ正反対の内容だった。

 本書はどこまでもひたむきに、仕事と家族に向き合った小島さんの、キレイゴトだけではない、悲しみ、怒り、絶望がありのままに綴られていた(もちろん、負の感情だけではなく、家族がいることの喜びや子育ての尊さなどにも触れられているのだが)。

 小島さんという一人の人間の、育児と仕事と夫と、そして社会に対する「叫び」が込められていたように思う。

 収録されている記事の中で、特に共感したのは、「『働きすぎだから休んで』と誰か言って」というタイトルのもの。

仕事が好きでも、働きすぎはダメなのだ。いくら好きでも、体を壊したら死んでしまう。これは、今まさに問題になっている日本の働き方改革のキモでもある。「好き」とか「やりがい」で片づけてはいけないのだ、絶対に。

 現代の子育てしつつ働く女性は、「両立させることを選んだのは自分だし、仕事にやりがいもあるし、どちらも完璧にやらなくちゃ!」と、かなり無理をしているように思う。

 けれど、働きすぎて体調を崩すことになっては家族のためにも、自分のためにもよくない。だからこそ、夫(または妻)が、自分で自分を追い詰めているパートナーを止めてあげてほしい。「働きすぎだから、ちょっと休んだら?」と。その一言が大切なのだ。

 他にも「『料理は愛情!』の押しつけはうんざり」という記事や「子どもの『ママ、見て!』に応え続けたい」、「安全神話なき世にあっても生き延びる子に」「この社会で、女でいるということの難儀」など、どれもハッとさせられた。

 小島さんの「世間に迎合しない、取り繕わない率直で素直な意見」は、多くの女性たちを励ます。そう感じた。

 今、仕事を優先して、子育てが疎かになっている(と、自分自身を責めてしまい)罪悪感を抱いている方。夫との関係で悩んでいる方。職場の理解がなく、マタハラで悩んでいる方。とにかく子育てと仕事がしんどくてしんどくて仕方がない方。

 本書はそんな読者に「気づき」を与え、いい意味で「自分中心の考え方でいいんだ」と思わせてくれる。働く女性を励まし、活力をくれる一冊だ。

文=雨野裾