加速する高齢化の裏に潜むビッグビジネスのチャンス! 成功者はどこに注目している?

ビジネス

公開日:2020/1/22

『超高齢社会の「困った」を減らす課題解決ビジネスの作り方』(斉藤徹/翔泳社)

 少子高齢化が叫ばれて久しい。厚生労働省の統計によれば、東京五輪が開催される今年から5年後、2025年には高齢者人口は約3500万人になると見込まれており、いよいよ日本の社会が本格的に「超高齢社会」を迎えることが示唆されている。
 
 そして、こうした話になると必ず話題に上るのが、若年層の負担増などの問題だが、視点を変えれば、私たちが経験したことのない新しい社会には新しいビジネスチャンスが転がっているという見方もできる。それに気付かせてくれるのが『超高齢社会の「困った」を減らす課題解決ビジネスの作り方』(斉藤徹/翔泳社)。本書には、少子高齢化という社会問題と向き合う上での大きなヒントが詰め込まれている。

■ファッショナブルなステッキで高齢者のイメージを刷新

 ビジネスチャンスにつなげるべく、本書は高齢者にみられるさまざまな課題を丁寧に浮き彫りにしていく。年齢と共に訪れる身体の衰えに合わせて、問題に対してどうアプローチするべきかがひとつの視点だ。

 本書によれば、身体に加齢による変化が現れるのは30~40代であるが、実際に自覚症状が目立つようになるのは50代からだという。さらに年を重ねると、腰が曲がる、徐々に前傾姿勢になる人たちも少なくなく、やがて歩行中に足元ばかり見るようになり、視界が狭くなってしまうと思わぬ事故に出くわす可能性も生じる。

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 一方で、高齢者の価値観は従来とは少々異なってきた。加齢に対応した商品のイメージも、時代によって変わってきた。

 その一例にあるのが、本書で紹介されている流通大手・イオンリテールのステッキ専門店「ファンタステッキ」だ。シニア世代を「G.G=グランドジェネレーション」と名付けた戦略で、ファッショナブルなステッキを幅広く展開。従来の「できれば使いたくないな」というステッキのイメージを刷新し、人気を集めている。

■介護の課題を最新テクノロジーで解決

 少子高齢化の問題になると、必ず同時に挙げられるのが「介護」というキーワード。現場での人手不足も取りざたされているが、この問題解決のために近年注目されているのが、進化する最新テクノロジーを活かした商品やシステムである。

 株式会社イノフィスの開発した「マッスルスーツ」もその一例で、介助者の肉体的負担を軽減するために作られた。研究当初のテーマは「人を補助するための装置」だったが、肩へかけて装着するパワード・スーツには人工筋肉が内蔵されており、圧縮空気を送り込むことで介助者の負担を軽減する。現場の声を取り入れながら、毎年改良モデルを発表している。

 また、年間で約1万5000人にも達するという認知症による行方不明者を発見するために開発された、東邦ホールディングス株式会社の「どこシル掲示板」も最新技術を活かしたシステム。個別のQRコードを対象者の衣服や帽子、杖などの持ち物に貼り付けておき、いざというときにネット上で発見情報を確認する仕組みだ。本書によれば、2019年10月現在ですでに1都22県75市町村の自治体で導入されているという。

■生涯現役の時代。高齢者たちの“仕事”をビジネスに

 昨今「人生100年時代」というキーワードも叫ばれている。かつての日本社会では、定年したら「余生」を過ごすというライフスタイルが定着していたが、高齢者になっても“生涯現役”として働き続けるのが当たり前になりつつある。

 その波を受けて、高齢者向けの人材紹介や人材派遣を専業にするビジネスも生まれている。元・東京ガスの社員が立ち上げた株式会社高齢社はその一例であり、ガスメーター検診や新築マンション内覧会の案内役などとして、シニアの人材を派遣。登録会員数は600人超、業務内容も100種類と多岐にわたる。

 また、余生を過ごす場所に「仕事」をひもづけたのが、千葉県佐倉市にあるサービス付き高齢者向け住宅「プチモンドさくら」だ。コンセプトに「働く高齢者住宅」を掲げた施設では、入居者が牧場の動物の世話や野菜作り、建物の清掃などに従事する。その労働の対価として、施設内独自の地域通貨をもらい、食事や送迎サービスなどに利用できるようになっている。

 社会問題は多面的であり、少し視点をずらせばそこには大なり小なりビジネスチャンスが転がっている可能性もある。そして、少子高齢化に潜むさまざまな課題に目を向けることは、いずれ自分が高齢者になったときにも巡り巡って役立ちそうだ…本書を読むとそう感じさせられる。

文=カネコシュウヘイ

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